30.邦奈良の都到着

やあ(以下略

本日2話目のゲリラ更新にございます。

話の切れ目的にどうよとかそんなのではなく、作者が公開話の進行度合い遅すぎ問題のため更新しました。

何せ作者、いま101話書き上げたんだぜ……。

そういうわけなので、しばらくはゲリラ的に夜の更新を行ったり行わなかったりします。

不定期的になりますがお付き合いください。

今更カクヨムコンとか出さないよ?

ほんとだよ。

(文字数あと30,000足りないし)


**********


「いやー、昨日は面倒でしたにゃあ」


 邦奈良の都まであと数時間というところで野営をし、翌朝。

 朝食を食べながらリオンがなんていうことはなく言い放った。


「面倒ですませられる、あんたのメンタルがうらやましいわ」


 なお、アヤネとミキはまだ調子が戻っていないのか朝食少なめだ。


「おや、アヤネ殿も盗賊退治はこたえますかにゃ?」


「それはね。理屈ではわかっていても、同じ人間を殺すって思うと……」


「それは今のうちに慣れておかないと困りますにゃ。盗賊だけならまだしも、死んだ人間にとりついてアンデッドとして動かす魔物もいますからにゃぁ」


「……そんな魔物がいたらフートに任せるわ」


「実際、その方がいいでしょうにゃ。その魔物、正確には植物系ですからにゃ」


「つまり焼き払えば問題なしと」


「アンデッドだと思ってアンデッド用の浄化魔法を使い、返り討ちにされるハンターや冒険者の話はよく聞きますにゃ」


「なら注意しないとな」


「はいですにゃ。魔物の種類を覚えるのも大事な経験ですにゃ」


 俺とリオンの間では和やかに朝食が進むが、アヤネとミキは調子が戻らないようだ。

 うーん、これは思った以上に重症かな。


「さて、朝食はこれくらいにしますかにゃ。準備ができましたら出発しますにゃ」


 朝食自体はもう全員食べ終わっているので、食器を片付けたら準備完了だ。

 神器は面倒な装備の手間がなくて助かる。

 スキルについては機密管理がなされているので、リオンの前でも神器装着ができて楽だ。


「さて、あと数時間で邦奈良の都ですにゃ。午前中にはたどり着きますのでゆっくり乗っていてくださいにゃ」


「了解。さあ、行こうか」


 ハウスをしまい、車を出して全員が乗り込む。

 リオンの安全運転でも本人の言うとおり午前中に邦奈良の都まで到着した。


 邦奈良の都は首都というだけあって、天陀よりも立派な城壁に囲まれていた。

 リオン曰く、邦奈良の都は400年の歴史があるらしく、街が拡張されるたびに城壁も拡張されてきたらしい。

 いま見えている城壁の周りには農場が広がり、城壁の中には市街地がある。

 そして、さらにその中には貴族街と城があるらしいのだが……まあ、関わらない方がいいだろう。


「さて、吾輩たちの順番がきたにゃ。仮登録証を準備してほしいにゃ」


 それなりに並んでいたはずの入街待ちの行列も一気にはけていたらしく、俺たちの番になっていた。

 よく見てみると、入街審査は四列で行われており、かなり迅速に行われているようだ。


「ふむ、ハンターギルドからの依頼か。そちらの三人を邦奈良のハンターギルド本部へ連れて行くことと、天陀からの物資の輸送と。ちなみに天陀からの物資はなんだ?」


「ハンターギルドで収拾した魔物素材である。詳細はそちらに書いてあるのであろう?」


「書いてはあるが……それを出すことは可能か?」


「可能不可能で言えば可能であるが……それを出すだけの場所はあるのであるかな?」


「どういう意味だ?」


「運搬量を確認するのである」


「……なるほど、高レベルのアイテムボックス持ちか。確認したいがその時間もないな。よし、通っていいぞ」


「助かるのである」


 門番のチェックも終わり、邦奈良の都に入ることができた。

 だが、しかしなぁ……。


「あの、私がこういうことを言うのもなんですが……あれでいいんですか? アイテムボックス持ちがいたら危険物も持ち込み放題に思えますが……」


「ああ、その心配はないにゃ。アイテムボックスの中身を含めて危険物がないか調べる魔導具があるにゃ。それで調べられているから問題ないにゃ」


「……それって信頼できるの?」


「百年以上使われているから信頼性は抜群にゃ。危険な薬物からその素材まで、危険物はすべて調べられますにゃ」


「ふーん。でも、それって未知の危険物には対応できるの?」


「あー……それは、明かされていないですにゃ」


「まあ、何事も万能じゃないんだろう」


 そのまま邦奈良の中を車で走ると、天陀に比べてかなり賑わっている様子が見て取れた。

 道も整備されているし、人通りも多い。


 そんな通りを進んで行くと、天陀でも見かけた看板があった。

 ここが邦奈良の都のハンターギルドらしい。


「ここが邦奈良の都、ハンターギルド本部ですにゃ」


「本部、ですか?」


「本部だにゃ。邦奈良の都にはこの本部の他にも北支部、東支部、西支部があるのにゃ」


「中央支部はないのね」


「中央は貴族街や王城地区だからにゃぁ。そんな場所にギルドを作っても、うるさい連中のご意見聞きにしかならないにゃ」


「それはそうだな」


「ささ、入るとするにゃ」


 車を降り、四人と二匹で邦奈良のハンターギルド本部へと入っていく。

 その中では、数組のハンターたちが飲食スペースで食事をしていた。

 その中にいたらしい、リオンの知り合いがリオンに声をかけてくる。


「お、リオンの旦那。お早いお帰りじゃないか。魔黒の大森林で素材集めじゃなかったのかよ?」


「その予定だったのであるが、緊急依頼が入ったのである。それ故に急ぎ戻った次第であるよ」


「ふーん、そっちの三人……と二匹は? っていうか、レッサーフェンリルじゃないか」


「レッサーフェンリルはその少年の従魔である。この三人も依頼ついでに邦奈良まで連れてきたのであるよ」


「そっか。ここに来たってことはハンター志望か?」


「吾輩の推薦でハンターになることは決定である。三人とも優秀であるぞ?」


「へぇ、そいつは楽しみだ。用事が終わったら一杯……は成人したばかりだからきつそうだな。飯でもおごってやるよ」


「ありがとうございます」


「へっ、気にすんな。俺らもハンターになりたての頃は、先輩方によくお世話になったからな」


「この三人はその枠中に入らないのであるがな……まあ、親睦を深めるのは悪くないのであるよ」


「じゃあ、また後でな。俺らは仕事帰りだから、しばらくのんびりしてるからよ」


 気のいい先輩のようだった。

 あたりを見れば、他のハンターたちも同じような目線を送っている。

 ハンターギルドってこんなんなのか?


「驚いたかにゃ? ハンターギルドは大体こんな感じにゃ」


「……確かに驚きました」


「ハンターギルドに先輩ハンターと来る新人は推薦付きが確定してるにゃ。だから、みんな温かく出迎えるにゃ」


「じゃあ、先輩がいなかった場合は?」


「適切な先輩が『洗礼』するにゃ。それで適切な対応ができれば一次審査は合格。次の実技試験で合格なら晴れてハンターの仲間入りにゃ」


「……厳しいんですね、ハンターって」


「魔物討伐が専門だからにゃぁ。気軽に入られて死亡率を増やされても困るのにゃよ」


 そう話している間に受付まで到着。

 リオンの姿を見た受付嬢が話しかけてきた。


「あ、リオンさん、お帰りなさい。魔黒の大森林に行ったのでは?」


「緊急依頼が入ったので戻ってきたにゃ。これが依頼票で、すぐにギルドマスターに会いたいにゃ。優先度S案件にゃ」


「S案件ですか……少々お待ちください」


 受付嬢が小走りに裏に消えた後、すぐさま戻ってきてリオンにこう告げた。


「ギルドマスターがすぐに会うそうです。四階のギルドマスタールームまでお願いします」


「にゃ。S案件にゃろ?」

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