第7話 交わりは一直線 ACT 2

下着かぁ……。女子高生の下着。


その響きに何かドキドキとする俺。もしかして俺って、変態だったのか?


別に女性の下着……。最も香の下着は何度も見ている。

それに高校の時だって、付き合っていた彼女くらいはいた。

確か同じクラスの子だったよな。

付き合って1週間目でセックスまで行ったけ。


俺はあの時、童貞だったけど彼女は処女じゃなかった。

「初体験? そんなの中学の時やっちゃったわよ」

女子と言うものは、そんなもんなのかと言う感じしかとらえていなかったけど、まぁその子との彼氏彼女としての付き合いは、高校2年の終わりまで続いた。


3年になると大学進学を決めていた俺は自ずと受験勉強にその身を注ぐようになり、彼女も同じように受験対策に追われるようになった。


当然お互い、会う時間はけずられ、会えばセックスをするだけのただのセフレの様な関係になりつつあることに俺たちは、気が付いていた。


時間の進みは思ったほど早く進んでいく高校3年の時期。

最後に彼女と二人っきりで会ったのは夏休みの終り頃だった。

同じクラスであるがゆえに、学校では毎日の様に顔を合わせていたが、これと言って会話もなく、以前の様に学校でも二人で話をする事もなくなった。


それに関しては俺も違和感は持たなかった。何となくそれが当たり前の様な状態であり彼女自体もそれが普通であるが如く、お互いを避けている訳もなく、近づくわけでもない状態が卒業まで続いた。


お互い志望する大学に合格し、俺たちはそのまま……。自然消滅した。

そんな昔の事を思い出させる。


下着の洗濯。その言葉が俺の過去の事まで引きずる出してくるとは……。



「あ、そうだ。バスタオル出していなかった。多分、分かんねぇだろうな」


そっと脱衣所のドアを開けると、彼女はシャワーを浴びていた。洗濯機のシャ、シャと水が撹拌かくはんする音を出していた。

脱衣所の収納扉を開きバスタオルと、……。予備のバスローブを取り出し、脱衣かごに置かれている彼女のキャラ熊リュックの上にそっと置いた。


「バスタオル置いておいたから」

と、声をかけたが、シャワーの音と洗濯機の音で、俺の声は彼女には届いていないようだった。


仕方なくそのまま、脱衣所を出ようとしたが、浴室のスモークガラスに映し出される ぼやけた彼女の裸の影を目にして俺の欲意は徐々に高鳴り始めていた。

このまま俺も入って行ったら怒るかなぁ。


まぁどのみちこの後お互い、裸のままでいるんだから、同じだよな。と、頭のなかを欲望と焦る気持ちが俺の行動に拍車をかけようとしたが、俺は思いとどまった。


いきなりじゃ驚くだろうし、もしそれで怒ったらこれから気まずいよな。ここは我慢我慢。

そっと脱衣所のドアを閉めた。


あのぼやけたガラス越しに見た彼女の躰。ぼやけていたけど、胸の大きさは実感できるものだった。


「んーやっぱり、あの大きさには期待しちゃうな」

多分すげー柔らかいんだろうな。


もうこの時点で、俺の罪悪感はどこかに吹っ飛んでいたようだ。

正真正銘の女子高生とセックスをする。

この年じゃ、もうあり得ねぇ現実がもすぐ実現する。


ベランダの窓を開けサンダルに履き替え、ベランダで煙草に火を点けた。

前の部屋は中でも吸えたが、ここは中だと壁にヤニや匂いが着くから室内は禁煙だ。


口から煙をスーっと出しながら、彼女が綺麗だと言っていた街の灯を眺めていた。

確かに綺麗だと言えば綺麗なんだろうけど、やっぱり俺にはここから見る街の灯は寂しさを植え付けられる。


まだ、俺は香と別れた傷が癒えていないようだ。


俺は香と結婚するもんだとばかり思っていたのが突如の破局。

挙句の果てに、こんなに広いマンションに一人で暮らすはめになっちまった。


「はぁ―」と、ため息を一つ出し。もういい加減香とのことは引きずるのはやめにした方がいいんだろうが、どうしてもことあることに香を思い出してしまう。


新たな恋に転身するのが一番この苦しさから逃れる唯一の方法なのかもしれないが、今はまだその新たな恋を探す気力さえもわかないのが本音だ。

だが、湧き出るこの欲意を押さえる事は出来なかった。だから俺は彼女を誘ったのだ。


一晩でいい。どんな子でもいい。この湧き出る欲情をひと時でも解消出来るのなら、それでいいと……。


『援助交際』どこまでが違法であるのかはその行動関係にもよるんだろうが、俺は彼女とセックスをしたい。肌の温もりを感じ、自分の中に溜まっているものを出し切りたい。つまり、彼女とセックスをするという事は罪でもあるという訳だ。


金銭を伴い身体を提供し、その行為をする。いわゆる売春行為と言うものになるんだろう。


ばれなけば、お互い了解の上の事。合意でもあっても……待てよ確か彼女高校3年てあの生徒手帳に書いてあったよな。


吸っていた煙草をベランダの隅においてある灰皿でもみ消し、ハンガーに掛けている彼女のブレザーの胸ポケットに戻した生徒手帳を取り出し見た。


百合白学園高等部3年。氏名、野木崎美愛のぎざきみあ。生年月日4月5日……。

んッと、て言う事は。18歳という事か? 


つまりは児童福祉法には引っかからない……?。でも未成年。


んんんんん、そこんところいまいち俺あんまり詳しくねぇんだけど。でもなんか18歳だとすればなんか安心感がちょっと湧き出る。


でもこれから彼女と行う行為は確かに違法なことだ。外にばれれば摘発され、警察沙汰になる。会社は……、当然解雇通知が来るんだろうな。


それでもばれなければいいことだ。


こんなことは表に出ていないだけで日常行われている闇の部分だ。……ばれなければ……。


それでいい。


カタンと、脱衣所のドアが開く音がした。俺はあわてて、生徒手帳をまた彼女のブレザーの胸ポケットにしまい込んだ。


「お風呂ありがとうございました」


頭にタオルを巻き、バスローブを纏った彼女のその火照った姿を見て、今まで俺の理性が問いかけていた心苦しさが薄れていくのを感じた。



ただ、一つ引っかかることがまだあった。

百合白学園と言えば、ここらでは超が付くほどのお嬢様学校だと聞いている。



そこの生徒が何故こんなことまで、手をいや躰を染めようとしているのかと……。


だが、男の性はそれさえも押し込んでしまう。

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