4

 彼女の豊かなふくらみはほんのりと温かく、そしてとてつもなく柔らかかった。

 この歳まで満足に異性に触れたことのない俺にとって未知の感触がそこにあった。

 生唾を飲み込む。


 若い女が見ず知らずの男の部屋にこんな露出の大きい恰好のまま無断で上がり込んできたんだからどうなっても文句はいやまてそれは普通に犯罪者の発想だ落ち着くんだってすでに胸揉んでるけどなんで俺はこんなことをしてるんだ今すぐ手をはなして土下座で謝れば許してくれるんじゃ謝ってどうする許されなかったらそれで終わりだぞだったらいっそ行きつくとこまでいってしまうかどうせ死のうか何度も考えたような後も先もない人生だそれなら俺は


 俺は?


 彼女はおかしな体勢で固まっていた俺の肩をそっと押した。金縛りが解けたみたいに力が抜けて無様にしりもちをつく。

 それだけで頭の中が真っ白になりなにも考えられずに、ただ彼女を見上げた。

 彼女は嗤っていた。楽しげに、愛おしげに。


「そうがっつくでないぞ」


 長い素足がしりもちをついた俺の足の間へ伸びて衣服越しに既に固くなっているモノへと触れた。それだけで全身に電流のように感覚が迸り身動きひとつできなくなる。


「汝はわしをんだ。なれば暫しのあいだは付きうてやろうとも」


 つま先が巧みに掴み、擦り、瞬く間に俺を追い詰めていく。


「わしに捧げよ、さすれば与えよう」


 俺を弄ぶ悦びの表情に見下ろされて、なんの抵抗もできず俺はただ果てるしかなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る