第44話 私のせい


報道が出て何日が経っただろう。






本当は詩音に連絡したいくせに。






一度自分から連絡を絶ってしまった以上、きっかけが掴めなくなっていた私は何度目か分からないため息をつく。







そんな憂鬱な日々を過ごし、仕事にもなかなか集中できていない私は今日もため息をついていると、、







突然携帯が鳴った。






画面を見れば知らない番号からだった。






詩音かと期待した私は落胆する。







本当に詩音からかかってきたら焦るくせに、、






私は本当に何がしたいんだろう。







……それにしても、 着信が全然切れない。。。






かれこれ1分は鳴り続けている。






私は迷った挙句に電話に出ることにした。






「…もしもし?」






「……あ、、めぐちゃん?!」






「え?」







突然自分の名前を叫ばれ、私は動揺する。






「そうですけど、、どちら様ですか、、?」






「あ、名乗りもせずに急にごめんね!俺、Shineのケンだよ!って言って信じてもらえるかな、、レンの携帯で番号見て電話したんだ」







「え、、なんで、、」






「…ニュース、見てるよね、、?ショック受けてるかもしれないけど、これだけは言わせてほしい。







あの報道は全て嘘だ。

レンとユカちゃんが付き合ってる事実なんてどこにもない。」







「!!」






「本当はレンの口から言うべきなんだろうけど、、めぐちゃんと連絡取れないって言ってるし、、何より詩音がまともな状態じゃなくて…」






「…まともな状態じゃないって、、詩音になにかあったんですか、、?!」






「…それが憔悴しきってて、、普段言わないような事まで言っちゃってるんだよね、、アイドルやめるとか…」






「え?!」







いつの日か幸せそうにアイドルのやりがいを語っていた詩音が浮かぶ。







「ファンの子達が笑顔だと僕まで笑顔になれる」





「みんなからたくさんエネルギー貰ってるから恩返ししたくてまた歌うんだけどさ、その度にまた僕の方がエネルギー貰ってて、、僕は何も返せてないんじゃないのかなって」





悩ましげに話す詩音も何だか幸せそうだった。






本当にこの仕事を、ファンを愛してるんだと感じる事ができた。







そんな詩音が辞めるなんて言うなんて。。。





それだけ私の知らない所で詩音が追い詰められたとは思いもしなかった。






いや、1番追い詰めたのは、、







私なのかもしれない。









「めぐちゃん、お願いがあるんだけど」

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