第30話 私よりも


そんな衝撃的な事件から数ヶ月。





詩音は多忙なスケジュールで追われていてまた会えない日が続いていた。






今思えばほんとなんで詩音の正体に気づかなかったんだろう。








毎日Shineの動画見てるのに。。。







顔を隠しているとはいえ、ファンなら声とかでも気付けそうだったのに。。






詩音にはめぐは天然っていわれたけどそうなのかな?







いや天然より馬鹿?






「あ、詩音」






そんな事を思いながらさり気なく付けたテレビに詩音が映っていた。







めぐはいつでもテレビで僕の顔見れるけど僕はめぐに会わないと見れないから不公平だとか前に言ってたっけ。






そのせいで毎日自撮りを要求される。






そんな事を思い出しながら笑ってしまう。







でもね、それ勘違いだよ詩音。






だって顔見たら余計会いたくなって切なくなるもん。







テレビを見ないようにしたって街中の大きい看板の中に詩音がいるしさ?







顔を見れば見るほど会いたくなっちゃう。







テレビの中の詩音は綺麗な女性アイドルと音楽番組の司会をしていて2人とも笑いながら楽しそうに喋っていた。







あ、この2人お似合いだな。







誰が見てもそう思うだろうってくらいその2人はお似合いだった。







女の子すっごい可愛いし詩音惚れちゃったかも。。。







私なんか地味で可愛くも何ともないし、、






やっぱり詩音と私とじゃ不釣り合いだよね。。








勝手にそのアイドルに嫉妬し、急に悲しくなって泣きそうになる。






私に詩音は勿体ないよね、、







やっぱりあの時、告白を断った方が良かったのかな。






あのアイドルといる方が良いんじゃないか。







自分は詩音が大好きで離れる事なんてできないことを分かってるくせに、そんな事を思ってしまう自分が嫌だった。






だけどそんな不安な気持ちは日が経つにつれて大きくなるばかりだった。

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