第17話 失態
「……」
見慣れない天井。
見慣れない部屋。
服装は…昨日のまま。
この部屋に詩音の姿はない。
ただ私だけが大きすぎるベッドに横たわっていた。
何となくホテルの部屋だろうというのは理解できる。
けれど、昨日の記憶がない。
詩音と会って、それから居酒屋に行って、、
そこまでしか覚えていなかった。
まさか私、詩音と、、!!
いやいやいや!!ありえない!
そんなはずは、、ない、よね?
私はそんな事はないと言い聞かせて記憶を辿るのを諦めて起き上がり、やっとこの部屋を見回して気付いた。
「これってもしやスイートルーム、、?」
目の前に広がる豪華な内装とホテルとは思えない広さ。
明らかに私の知ってるホテルの部屋ではなかった。
私が1人で来たの?
それとも詩音がここに運んでくれた、、?
…なんとなく後者の気がする。。
ありがたいし申し訳ないけどなぜスイートルーム!!
絶対高いじゃん!!!
お金足りるかな。。。
私は半ば絶望しながら急いで荷物をまとめて部屋をあとにした。
フロントに着くと、恐る恐るカードキーを返却する。
「あ、あの、おいくらですか、、?」
覚悟を決めてそう聞けば
「既にお連れ様の方からご料金は頂いております」
と呆気に取られる言葉が返ってくるのだった。
* * * *
「もしも…」
「昨日一体何があったの!?」
数回かけても繋がらなかった相手からやっと電話がかかってきた時の私の第一声がそれだった。
「まあ色々あったよ。それより二日酔いとかない?」
「あるけど、、いやそうじゃなくて、、!色々って何?!何があったの!?」
「…やっぱりか、、カバンに二日酔いの薬入れといたから飲んでね」
私の言葉を無視してそう言う詩音。
「え?カバン?」
その言葉にカバンを漁ってみれば、確かに薬が入っていた。
「いつの間に…」
「じゃあ、忙しいから切るね。もうお酒飲みすぎて暴れたりしないでね~」
「え?!ちょっと待って!」
私が二日酔いの薬に気を取られてる間に電話が切られる。
完全に嵌められた。。。
最後に聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんだけど。。
暴れたって何!?
何があった!思い出せ私、思い出せ思い出せ思い出せ
「だめだぁぁぁ!!」
その後、必死に考え続けても結局思い出す事ができない私だった。
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