第3話 1本の電話
「…ん」
目を開けると真っ白な天井が見える。
ここは…私どうしたんだっけ?
「目が覚めましたか、園田めぐさん。」
医者が私の顔を覗き込んでくる
「あ、あの私は…」
「過度なストレスが原因で倒れたんですよ。何か心当たりはないですか?」
「……ああ」
私の反応に医師はそれ以上聞いてくる事はなかった。
ただ、そんなに重症ではないため、点滴を受ければすぐに帰れるとだけ言い残して医師は去っていった。
1人病室に残されて考えてしまうのはリョウの事。
「…もう何で…リョウ…」
あんなに泣いたのに枯れることを知らない涙はまた勝手に溢れる。
ーーしばらくそのまま泣き続けていると聞きなれない着信音が病室に響いた。
ここには私しかいない。
そして音を辿ればそれは私のバッグへと行き着く。
けれど私の携帯はこんな着信音に設定した覚えはない。
自分のバッグを漁ってみると
「なにこの携帯…」
その音は私のバッグの中に入っていた見知らぬ携帯から鳴っていた。
「相方…?」
発信者はそう表示されていた。
何で私のバッグに入っているのかは分からないけど、、とりあえず出た方がいいのかな…?
持ち主が分かるかもしれないし…!
そう考え、思い切って応答ボタンを押した。
「…もしもし」
「え…あ…もしもし…?!ねぇ!誰かでたよ!」
聞こえてきたのは低い男性の声。
その言葉は私ではなく、電話の向こう側にいる別の人物にかけられているようだった。
一体どういうことだろう、、?
全く状況が把握できず戸惑う。
「あ、あの…?」
「すみません!ちょっと変わります!」
「え?」
変わるって誰に…?
そう口にする前に電話の相手が違う男性の声に変わってしまう。
「もしもし!」
「えっと、もしもし…?」
「あの!あなたがこの携帯を拾ってくれたんですよね…?」
「いや拾ったというか、この携帯が何故か私のカバンの中に入ってただけなんですけど…」
「え?」
いやそれこっちのセリフです。。
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