第7話 泣いていいんだよ
全ての事を話し終え、詩音の反応を見れば視線を落として何か考えこんでいるようだった。
「…詩音?」
「…ああ」
私の声にハッとしたように視線をあげる詩音。
「…めぐはさ、まだその人のことが好きなの?」
一拍おいてからそんな質問が私に投げられる。
「……」
私はリョウの事を 、、
もちろん、浮気されたうえにあんな酷い態度をとられて嫌悪感が沸かなかった訳ではない。
裏切られて、とてつもない怒りが、悲しみが私の心を支配した。
だけど、好きじゃないとも言いきれなかった。
リョウと過ごした時間が幸せだった事は紛れもない事実で、今でもあの時間を恋しく思ってしまう私がいる。
そして、そんな曖昧な感情は私の心をきつく締め付ける。
だから私は
「…分からない」
そう答えた。
「だけどもう終わりにする」
そう決めた。
昨日の事があってからリョウからは連絡の1つもない。
それが私がただの遊びだったという事実の何よりの証拠だろう。
例えまだ私がリョウの事を好きだとしても私はあの人のオモチャでいたいとは思わない。
それにリョウはもう#オモチャ__わたし__#を捨てたのだ。
「終わりにするって、、忘れるってこと?」
「うん、最初は難しいかもしれないけど、、頑張って忘れる」
「それで、、めぐの気持ちは楽になるの?」
「…最初は辛いかもしれない。けど、忘れずに想い続ける方がきっと、もっと苦しいと思うから」
「…そんな顔して言われても説得力ないなぁ」
「え?」
「めぐ、気付いてた?さっきからずーっと泣きそうな顔してるよ?」
「私が…?」
「うん、辛いって顔に書いてある。無理して強気な事言ってるでしょ?…本当はもうボロボロなのに」
「…っ!!」
どうして、、必死に耐えて話してたのに、、もうこれ以上弱音を吐かないって決めたのに…っ!
「もう我慢しなくていい、泣いていいんだよ」
どうして私の心を揺さぶるの
次の瞬間我慢していた悲しみが目からこぼれ落ちた
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