第77話 プールだ! プールだ!

 お皿とコップのお片づけを手伝っていると、「今日は~これからプールで~す!」の声とキャー! とかワーの歓声が上がった。

 子どもの頃は、プール嬉しかったもんな。


「お椅子を片付けて、トイレを済ませて、お着替えをします」


 お着替えか~。こんな小さいのに、水着とかあるんかな?

 このクラスはみんなまだおむつの子が多くて、トイレへ連れて行くのはミミカちゃんだけだった。

 おむつとぱんつの境目は、トレーニングが必要というけど。


 さて。

 水着、あった。

 しかも、すんごく可愛いデザインの水着!

 女の子だけじゃなくて男の子も、可愛い!

 しかも女の子のは、ビキニ……みたいなやつを持ってきてる子が多い!


「上下分かれている方が、トイレに行きやすいのよ」


 ハルコ先生が教えてくれる。

 ってか、見てたの、気づいてたん……


 男子は男の子の、女子は女の子のお着替えを手伝って、いざ、プールへ!

 しかし水着になると、ますますぷくぷく度が爆上がりするな。

 この、体型の、お人形感がハンパない。


 首とか胸とか一応ある程度で、あたまとおなかがぽよんぽよんに主張するこの体型。

 足も手も短くて、くびれで存在をアピールしてる感じ。

 水着のパンツは着るというよりくっついてるっていうより、埋まってる?

 思ったより小さいおしりを頑張ってカバーしてる。


 プールは屋上にあるらしく、そこから大移動が始まった。

 歩くのもヨタヨタする1歳児には、階段はいっこいっこ手も使って踏破するものだ。

 危なっかしくてヒヤヒヤする。

 先生たちは二人だし、手は4本しかないし、子どもは6人だし、おれたちいて良かったよ! 多分!


 屋上に着いたら、空は麻布の日よけで隠れていた。隙間から差す光の線が、時折吹く風に揺れて動いてる。

 左手に黄色く塗られたプールが、大きい子クラスの子どもであふれていた。

 キャーキャー楽しそうだ。


 みんなはプールの周囲から、水をかけたり、おもちゃで遊んだりしてて、こっちも楽しそう。

 右側には大きいタライがたくさん並んでた。中に水が入ってる。

 アキコ先生は順番に、1歳児クラスの子どもをタライに座らせた。

 専用のプールって訳か!

 確かに、これなら溺れない。

 他の子の邪魔にもならない。

 おれたちは持ってきたプールバッグを棚に置いて、子どもと遊ぶ。


 階下へ戻って行ったハルコ先生が、0歳児クラスの先生と、子どもを二人ずつ連れて帰って来た。

 そうだ、手が足りないよね。

 赤ちゃんだからまだ歩けないし。

 赤ちゃんには小さめなタライ。

 お一人様。

 カワイイ。


 アジマルくんは手づくり感あふれる、ペットボトルの中にブロックが入ってるおもちゃに、水を入れたり出したり、カラフルなブロックが動くのを、まじめな顔をして見てる。

 遊んでるとき、小さな子はまじめだ。

 真剣そのもの! て感じで遊んでる。

 おれが時折かけてあげる水にも、反応しないときすらある。

 すごい集中力。


 ふと隣を見ると、ミミカちゃんについてる咲良がいる。

 濡れても大丈夫なように、半袖半ズボンで来てね、と連絡があったからか、エプロンを外したおれ達はTシャツに短パン。

 濡れるからぺったり座って相手はできないけど、中腰の姿勢はおみ足の美しさを強調するな!

 あ~キレーな足!

 細すぎず、白く、すんなりとした足。

 日よけの隙間から差す光が、太ももの形をなぞってる。

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