第十四話 ♪アナタのその武器、なんてぇの?
「さ、着いたぞ。ここが
シクヨロが、パーティーメンバーであるアイシアとマルタン、ヴェルチにそう告げた。彼らは、足元にサークル状に描かれた魔術の文様から、最初の一歩を踏み出した。
ここは第十三迷宮にほど近い、探索者ギルドの運営する番屋である。あたりはすっかり日も暮れ、彼らのほかに探索者パーティーの姿はない。
「……はー、びっくりしちゃいました。いまはこんな便利なものがあるんですか!」
「ん?
「でも、有料だけどね」
探索者ギルドで、四人分の
「まあ、しょうがねえさ。歩いてきたら、それこそ何日かかるかわからん」
「そうだな。かつて迷宮につながる街道が整備されていないころは、その道中で
ヴェルチの言葉にうなずきながら、アイシアは彼女に問いかけた。
「そういえば、ヴェルチさん」
「なんだい?」
「同行していただけたのはとてもうれしいんですけど、酒場からずっとそのまま私たちについてきてしまって、本当に大丈夫だったんですか? いったんお家に帰って、旅立ちの準備したりとか」
「ああ、問題ない。我々、
そう言って、ヴェルチは手にしていた巨大な
「これは私の愛用している
ヴェルチがそう断言するように、アヴァランチは長く、太く、そしてなにより重かった。
「すごい武器ですねえ!
感嘆の声を上げるアイシアに、まんざらでもない表情をするヴェルチ。
「いやいや、きみの
「……ふっふっふ。わかっちゃいました? さすが、一流の
そう言って、和風
「いざご覧あれ! これぞ、歴戦の侍大将として名を馳せた我が父、
アイシアは、
「その
「その名も?」
「『
「下ネタかよ」
シクヨロが、あきれて言った。
「ああ……。お父様ご自慢の、太くてたくましい
アイシアは剣を鞘に収めると、陶酔するように
「その
「もちろん! ヴェルチさんも、お好きなんですね」
「ああ、私はこういった
「あ、ぜひご自分の手で抜いてみてください! この反り具合がステキなんです」
「ほう……。いい角度だ。絶妙だな! やみつきになるのもわかる」
「眺めてると、なんだかうっとりしてきちゃいますよね、
「うん。最高だな、
「もうやめて。
ようやく、マルタンがツッコミを入れた。
「おい、もう行くぞ」
シクヨロの言葉で、ようやく一行は迷宮につづく門の前へと歩みを進めたのだった。
「よっと」
手にしていた魔法の杖「ジンジャー」に、とある操作を加えるマルタン。するとジンジャーが彼の手を離れ、地上からほんの数センチほどの高さで浮遊して止まった。マルタンはジンジャーの突起部分に両足をかけると、その杖は少年を乗せたままゆっくりと前進しはじめたのだった。
「おおー、マルタンさん! そのジンジャーって、空中移動にも使えるんですね!」
「うん。魔力のある迷宮内と、その付近だけだけどね」
少年
「まったく、ラクしやがって。探索者らしく、すこしは自分の足で歩いたらどうなんだ?」
「うるさいなあ。ていうか、
口を尖らせたマルタンが指摘するとおり、シクヨロは冒険用の大きな
「オレはこれでいいんだよ。このカッコじゃないと、『迷宮探偵』っぽくないだろ?」
「ほかにだれも存在してないんだから、べつにどんな服装でも問題ないとは思うけど」
シクヨロのこだわりが、理解できないといった感じのマルタン。なんども言うようだが、この『ドラゴンファンタジスタ2』には
「で、武器は? まさか、ナイフ一本持ってないの?」
「ああ、使い慣れない刃物を振り回しても、指の先を切りそうだしな。オレは
「……シクヨロって、つくづく命知らずだねえ」
「ふたりとも、もうそのへんにしておけ。迷宮に入るぞ!」
戦闘力のいちばん高い
「さあ、行くぜみんな! オレたちの
迷宮に一歩目を踏み入れたその瞬間、シクヨロたちは足元に大きく開いた
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます