第2章10話 輪廻ノ炎帝


 特盛の牛丼にがっつく祐希と、美味しそうにカレーを食べる《不死鳥》。一方俺は目眩に耐えながらのミニ牛丼。コイツら神経図太すぎて心配。


「そうだ、自己紹介がまだだったな!俺は《不死鳥》の桑原くわばら快人かいとだ。よろしく!」


 カレーを食べ終えて話し出す彼は、20代後半に見える。


「ああ、よろしく。俺は夜桜潤。《統率者》らしい。コイツは《デミゴッド》の朝日祐希だけど、知り合いなのか?」


「今代の《統率者》が現れたって噂は前々から聞いてるぜ!朝日の話も聞いたことあるけど、直接話すのは初めてかもしれねぇな!」


 そうか。統率者同士とはいえ、全員が顔見知りってわけでもないのか。


「——ところで、桑原さんの権能ってやっぱり蘇生……なのか?」


 もしそんなことが可能なのだとしたら、俺はーー


「いや、そんな方法どこにもありはしないよ。俺の権能はただの治癒!それと俺は特別しぶとい!」


「——そうか」


 あの惨殺死体の体は、死んだふりだったらしい。戦闘に不向きな彼なりの防御策だったのだろう。


 にしても、とんだしぶとさだな。めっちゃ痛そう。なんて、俺が呑気なことを考えていると——


「それだよ。誰に対して死んだふりをしてたの?」


 ようやく牛丼を食べ終えた彼女が口を開く。ーー誰が調停者である彼を襲撃したのか。


「それがよくわからないんだ……!後ろから不意打ちで滅多切りにされて、振り向く暇もなかったからな!」


 自分が滅多切りにされた話をこんな元気にする人初めて見たよ、俺。


「けどひとつ妙なことを言っていたんだ!たしか……『滅殺混沌刃カオス・カルネージ!!』なんて叫んでいた覚えがある!!」


「厨二病ここに極まれり」

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