第2章9話 ジェネレーション・サード
——”迷い込んだ場所は、規制線の内側でした”。それもみたとこ出来立てほっかほかの惨殺死体がひとつ。
駆けつけた時空のおっさんもとい警官が俺たちの視界から隠そうと位置どりしているが、大して隠せていない。もっと強く言って追い出せばいいものを、言葉で促すのみ。
「あれ……?死体が動いたような……?」
冗談じゃない。祐希。死人はもう戻らない。……俺の両親と同じ様に。
「早く行こう——」
俺が立ち去ろうと声をかけた瞬間——
死体が、燃え上がった。現場が騒然とするなか、炎は轟々と燃え上がり、いっそう激しさを増して——唐突に消えた。
当然、その場に残るのは黒焦げになってしまった死体……ではない。
「ああ、すいません!ちょっと転んじゃって。気ぃ失ってました?」
——は?
「……ああ、なんだ。打ちどころが悪かったみたいですね。人が死んでるなんて通報だったもので大ごとになっちゃいましたよ。念のため、病院行った方がいいですよ」
たいしたことはないという風に起き上がる男と、何事もなかったかの様に笑う警官。
「一体何が——」
「……あの人、《不死鳥》だ」
祐希の言葉に耳聡く反応したのか、警官に話をつけた男がこちらへ歩いてくる。
「よう!君たち!ちょっと話しようぜ!」
「そこの牛丼屋で!」
「今の見て肉食うの!?」
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《監視者》の認識阻害能力、『ミスト』は基本的に人間の意識に干渉し、事象を対象の理解できる形に誤認させる。物理的干渉は行えないので、不自然な部分が生じることがあります。
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