怠惰くんはスキルを使います
さて、そろそろ働こう。
いや、違うんだよ。決して1度遊んでから1ヶ月も寝てたとかそういうのじゃないんだ。
子供は寝るのも仕事のうちだし実質働き者では?とか言い訳してたわけでもないんだよ。
…
スキル
1次 生活魔法
2次 知力強化Ⅱ 美肌 美髪
3次 魅力強化Ⅲ 識別
秘奥 隠蔽IV
覚醒 スキル自動発動
神話 念動の極意 結界 美少年の極意 魔創
魅力強化が上がっているが、今回はそれじゃない。魔創だ。
これは念動で歩いたり、寝ながら移動してる時に 魔力に頼る者 という称号がでて、スキルに生えてきた。
効果は
INT補正とDEX補正で発動。魔力を物質に変換する御業。魔力と密接に関わり、魔力で実体を作った者のみが到れる境地。
完璧に創造系チートじゃんとか思ってない。
僕は思ったんだ。これを使って睡眠の質を改善しようと。
この世界は異世界だが、中世並とかそういった舞台じゃない。知識チートなんて存在しない。だって魔道具があるんだもの。
魔道具は優秀で、洗濯、トイレ、調理器具、ミシンなど、様々なところで使われている。
僕はチートで目立とうなどと思ってないのでこれは有難い。
服にしても、前世よりワンランク下くらいでそこまで悪い訳でもない。
だが!
上を目指すことは悪いことではない!
ということで魔力を
まずはスウェット。伸縮性があり、継ぎ目が存在せず、僕の体型に丁度いいもの。
1から手で作るのではなく、0から魔力で創るので天衣無縫を再現出来る。
これだけだと味気ないので猫耳つきのフードをつけて、パーカーにする。
完成したら、
次に抱き枕。
これは大事だ。シールさんや年長さんがいない時、僕の睡眠の質が数段落ちてしまう。
まずは円柱形のビーズクッションのようなものを想像。その中心に、2つの素材を混入させる。
1つは反重力の素材。ヘリウム風船を想像しながらゴム質に仕上げる。
1つは気候を一定にする素材。僕が持つだけなので、半径50cm程度が常に常温になるように想像。これもゴム質にしよう。
あとは2つを長く伸ばし、芯のようにして固定する。
今更だけれど、魔力ってどこから出ているんだろう…。
少し精神的な疲れを感じている。いや、脳に負荷がかかる感じかな?
最後にシールさんと年長さん、リームちゃんにルームウェアを作ってあげる。
僕はいつでも作ることができるが、彼女達にずっとついていられるかわからない。だからサイズ可変と劣化防止を意識して作成する。
また、デザイン性も重要だ。女の子はそこらへん敏感だし、僕も可愛い服を着た
オーソドックスにマイクロファイバー質のボーダーパーカー&パンツでどうだろう。ボーダー部分は彼女達に合いそうなパステルカラーと白を合わせると映えると思う。
着こなしている姿を想像していると、簡単に出来てしまった。出来栄えは僕のより数倍上だ。
下心が天啓を齎したのだろう。大勝利。
ギフトラッピングを適当に作り出し、それに入れる。
全部終わったところで耐えていた眠気が全身を襲う。
あぁ…
起きた時には夕方だった。忙しいであろうが
目の前に屋敷の門兵が見えた。
「シールさんに渡したいものがあるとお取次ぎ下さい」
「坊主、プレゼントか?まだこんなちっさいのにませてんなぁ。わかった、伝えよう。」
シールさんと仲がいいのは知れ渡っており、門兵さんもからかってくる。この人とも度々話すが、口は悪くとも仕事は真面目にする人だ。
しばらくして、シールさんがやってくる。
「ネムくんから私に渡すものって?孤児院の誰かから頼まれたのかな?」
シールさんは勘違いをしている。ちょうどいいので利用させてもらおう。
「実は、あまり他人には見せたくないので…シールさんの部屋で渡してもいいですか?」
「いいよ!なら早くいこ!」
シールさんははしゃいでいる。これはプレゼントだとバレたのではなく、2人きりなのが嬉しいのだろう。
歩いてシールさんの私室にいく。
「で、何を渡してくれるのかな?」
「実は頼まれたとかじゃなくて、日頃の感謝の気持ちをこめて、プレゼントを創ったんです」
そう言うと、シールさんの顔は
まぁ、可愛い息子や弟からプレゼントを貰う年長者はデレデレにもなるだろう。多分そんな感じだ。
「これ、受け取ってくれますか?」
「うん。開けてもいいかな?」
「はい!是非着た姿を見せて欲しいです!」
シールさんは包装をあけ、中身をだす。
「作りが細かく、有り得ない肌触りね…それにこれ、継ぎ目がない…」
「製法はないしょです。でも、シールさんのことを想って作りました!」
「じゃあ着てみるけど、少し恥ずかしいから後ろを向いていてくれない…?」
「わかりました」
後ろを向く。背後から衣擦れの音が聞こえてきて少しイケナイ気分になるが、幼い体は精神に追いついていないので大丈夫。
心拍数は少し上がった。
「終わったよ。……すごいやさしい着心地で、いつでも寝られそうね」
…そこには女神がいた。
シールさんは魔族であるが、少しとがった耳以外人間と変わらない。
水色の髪と水色と白のボーダーが映え、美しさを醸し出しているが、モコモコとしたマイクロファイバー質の生地が可愛さを演出する。
「とてもきれいで可愛いです。でもその姿、他の人に見せちゃだめですよ?僕の独り占めです。」
口から勝手に言葉が出る。シールさんの方を見ると
「(くぅ…可愛すぎる…)ありがとう。とっても着心地がいいの。今から一緒に寝ちゃわない?」
とっても魅力的な提案だ。
だが、彼女は仕事の途中で出てきたはずだし、僕の
「シールさんを呼んだ時、まだお仕事してたじゃないですか。とっても魅力的な提案ですけど他の人の迷惑はだめですよ。」
呼びつけた僕が言うのもなんだけれど、ミッションのためだ。
「それにまだ、他の人にも渡────」
「他の人…ねぇ?」
唐突に悪寒が走る。
「うん…。一個上の女の子や年長のお姉ちゃんにもお世話になってるから…」
…少しずつシールさんの笑みが消えていく。
「そう…1分待ってて」
完全に真顔になった。
シールさんは見えない速度で着替え、部屋を去った。
と思ったら30秒くらいで戻ってきた。そして
「他の子への贈り物なんて、また明日でもいいじゃない。私の仕事も今済んだから今から私と
すごく癒される雰囲気と背筋にくる圧が退路を塞ぐ。
仕方ないのでスウェットパーカーを取り出し
「わかりました。着替えますけど、恥ずかしいのでちょっと後ろを向いてて下さい」
さっきのシールさんと同じことを言う。が────
「いいじゃない、減るものじゃないんだから。着替えてるとこ、見せて?」
なん…だと…
塞がった退路から大きな鉄球が転がってくるなんて聞いてない。
「わかりました…恥ずかしいからあまり見ないで下さいね?」
本当にはずかしいのでモジモジしながら着替える。が、スウェットなのですぐに着替え終わる。
シールさんは食い入るように見つめ、ヨダレが少し垂れてる。
「(じゅる)さて、準備して寝ましょうか。今日はいつもより可愛がってあげるんだから」
こうして僕の1日が過ぎていく。
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