怠惰くんはお友達と遊びます
シールさんとの朝チュンを迎え、起床する。
時間の数え方は
そうして僕はお小遣いを得るのだ。だが、断じて
朝ごはんを食べさせてもらい、歯を磨いてもらい、服を着替えさせてもらう。
これは断じて自分の意思ではない。シールさん、または孤児院の年長さんが嬉嬉としてやってくれるのだ。楽だから断らないが。
今日は孤児院の家族…というほど強い絆はないが、友人たちと遊ぶことにする。
その前に2度寝と昼食、昼寝をする。
大体今は3時くらいだ。庭で遊ぶにはちょうどいい。
「ネムくん、遊びに来てくれたの?」
「よぉ!ネム!けんでしょうぶだ!」
女の子はリームちゃん。男の子はトール。
僕の1個上で、1番歳が近い。
「リームちゃん、こんにちは。トールくんは…はは…僕が運動苦手なの知ってて言ってるよね。ちょっと無理かな」
「うるせぇ!おとこがそんななよっちぃこというなよ!」
トールくんは負けん気が強いイタズラ坊主で、年上にも言いたいことを言う。将来はガキ大将だろう。
荒っぽいお年頃は前世に置いてきているので、早めに決着をつけたい。
「わかった、じゃあこうしよう。院長先生に言って1度、決闘をする。そこで僕が勝てば君は僕に2度と物事を強制できない。君が勝てば舎弟でもなんでもやってやろう。」
少し言葉が荒くなってしまったが、この精神年齢で剣術ごっこなんてやりたくない。というより動きたくない。ここでばっさり切って捨てよう。
「おう!ってもそんなこといっちまっていいのかよぅ」
「いいよ、これっきりにするから」
「(せっかくネムくんと遊べると思ったのに…)じゃあ私が院長をよんでくるね!確か今日はやることが終わってたと思うから」
「ありがとう。よろしくね」
さて、僕の平穏にして怠惰な生活は目の前だ!
…あれ?遊びにきたんじゃないっけ?僕って沸点低いんだなぁ。肉体年齢に引っ張られてるのかも。
そうこうしてるうちに院長が歩いてくる。院長は大柄な男性で、神話のミノタウロスのような見た目をしている。が、顔や手、足は人間寄りだ。毛深いし角もあるけど。
「子供達で決闘かい?はしゃぐのもいいが、あまり怪我をしないでくれよ。まぁ、今回は認めてあげるけどね」
「ありがとうございます。まぁ、これっきりにしたいところです」
「いーや、おれがかつんだからもっといろいろやるんだよ!」
はぁ…暑苦しい。今の気候は秋の終わり頃だが涼みたい気分になる。
「それでは、決闘をしようか。ルールはスキルあり、武器ありだが危なくなったら私が止める。まぁ、2、3歳児だし大丈夫だ。それでは始め!」
「うおおおお!」
トールくんが直上に走り出す。彼は木剣で殴り掛かることで一撃で終わらせるつもりなのだろう。
僕は念動による力場で彼の足を掴み、後ろに引っ張る。また、僕自身を念動でスライドさせ、足払いで転ばせたように見せかける。
「ぐっ!うぅ…うあーーん!」
顔からはいかなかったが、転んで泣き出してしまった。3歳児だしな。
「そこまで。トールも男の子なんだから泣かない泣かない。…でもネムくんは一体どうやって転ばせたんだ?」
まぁ当然の疑問だろう。人間がスライドムーブする体術はない。
「ないしょです。僕だって隠し事ぐらいありますよ」
そう言って人差し指を自分の口元に近づける。ウィンクして「しーっ」とアクションすると
「ぐはっ」
院長はリアクションをとる。心臓を抑えて膝をついている。
院長の開けてはいけない扉を開いてしまった気がしたが、これから相手をしなければいいだろう。
「時間はあまりないけど、リームちゃん。遊ぼうか」
「いいの?よろしくね!」
リームちゃんはいつも優しくしてくれるし、僕としても見た目相応のことはするべきだろう。
そうして夕方まで遊び倒し、夕食を食べ、年長さんの女の子にお持ち帰りされるのであった。
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