怠惰くんはみんなと話します ①
雑談タイムの始まり。
少し年上のお姉さんが話し始めた。
「取り敢えず、自己紹介しよっか。あーでも名前はどうなるかわからないし、美徳と大罪にくんとちゃん付けで!」
理にかなっている気がする。そしてお姉さんはコミュ力が高い。
「私は勤勉ちゃん!お仕事してたら意識がなくなって、気づけばここにいたの。好きなタイプは美少年!尽くす系の女です!ちなみに仕事が恋人でした!」
なかなかアグレッシブだが、少し残念属性を持っている。少しタイプかも。
それぞれ似たような紹介をしていくが、みんな個性がある。ちなみに控井さんは節制ちゃんだった。
そして僕の番。
「僕は怠惰くんです。趣味は寝ること、特技も寝ること。よろしくお願いします」
うん、100点だ。
「さて、自己紹介も済んだところで、話したい人と話してみようか。じゃあ一旦解散?で!」
解散というが、勤勉ちゃんの周りには4人ほど集まっている。僕は控井さん、もとい節制ちゃんのところに行った。
「うつ…節制ちゃんも死んじゃったんだね…」
「うん、あなたの体が冷たくなって、冷静じゃいられなくなって…精神的に参っちゃったみたい。」
「僕のせい…か…」
深い後悔が重圧を生む。優しい彼女は知り合いの僕の死を悲しみ、苦痛に思ってしまったのだろう。情けなくて、自己管理できなかった自分が恨めしくて、とても苦しい。
「ごめん…本当に申し訳ない…僕なんかのせいで…」
「あっ…そうじゃないの。確かにく…怠惰くんが死んじゃったのが原因だけど、それはあなたが大切だったから。私が1番好きな人が、私の目の前で消えてしまったんですもの。あなたなんかじゃなく、あなただからショックが大きかったの。」
節制ちゃんはとても切なそうな、それでいて恥ずかしそうな顔で言った。
僕は一瞬惚けてしまう。
<一番好きな>…この言葉が、僕の事を指すなんてないと思ってた。
「ごめん…全く気付かなかった。でも、どうして僕を?」
無遠慮に聞いてしまった。慌てて取り繕おうとしたが────
「最初は一目惚れだった。儚げで、とても可愛い人だと思った。話してみると優しくて、でも素っ気なくて。────あぁもう恥ずかしい!」
顔を真っ赤にする節制ちゃん。僕も少し熱くなるのを感じる。
「返事は今じゃなくていい。生まれ変わってまた会って、今度はしっかりアピールする。…少し休んで他の人とも話しましょ?これ以上は恥ずかしいから」
今の節制ちゃんはとても可愛いと思う。いつも凛々しい感じがしてたから、とても新鮮だ。
「わかった。まだまだ話したいことはあるけど、またあとで」
そう言って節制ちゃんの前から去ることにした。
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