03「やはり娼婦?」
私は賑わっている朝の通りを歩きます。
時冒険者ギルドの前にきました。
様々なクエストを受注した冒険者たちが、いざ出動する朝の風景ですね。
これからの領地警備に、そちらも考えねばなりません。
まずは商業ギルドに行き事情を説明します。
そして領地経営のコンサルタントを紹介してもらいました。
金融ギルドへの紹介状をもらい、すかさず移動して相談します。
いくつかの貸し出し先を紹介され、その足で全て回りますが全てに断られてしまいます。
領地を持っている貴族ならば、お金など簡単に借りる借りられると思っていたけど、しかし結果は惨敗。
よく考えてみれば、困窮している貴族の領地など大した稼ぎがないと見透かされているのでしょう。
そんなものを担保に取ったとしても、かえってお荷物になると判断するのが普通。今はどこも苦しいはずです。
再び金融ギルド戻り結果を報告。これ以上の融資先はないそうです。
「困ったわね……」
先立つものがなければ手の打ちようがありません。いきなりつまずいてしまいました。
私は憂鬱な気分のまま通りへと出ます。
「お嬢さん。お金が必要なのかい」
「えーと、はい、そうですが……」
いきなりのお誘いです。相手は怪しさ満点のおじさんでした。一応身なりは高級商人のようですが。
「断られたって顔してるね」
「まあ……」
「何なら私の所で融資しても結構だけど、どうかな?」
「それは助かります。ぜひ!」
なんとも簡単に融資が決まった、とは思えないだろう。やはり怪しすぎる。
しかし女の力一つで、どうすれば稼げるのか考えなくてはならない。
後学のためにもここはひとつ、話ぐらいは聞くべきであろう。
「そこがうちの事務所になっているんだ」
「はい……」
金融ギルドのすぐそばで、おもわしくない顔で出てきた人を客として引っ張る。
商業とはかくあるものなのだ。このような姿勢は見習わなければならない。
「さて、お嬢さんに融資できる金額はこんなところだからね」
男は自己紹介もなしに、いきなり一枚の書類を差し出す。
そしていくつかある項目の一つを指差した。
「金融ギルドでは担保が必要と言われましたが」
「担保はあんたの体だ。金を期限内に返せない場合は、その担保を差し出してもらう」
「体を担保にするのにしては、ずいぶん安いのですね」
「相場だよ。お嬢ちゃん」
「あの、私の相場はそんなに低いのですか」
「そうだね、しっかり稼いでくれればクラスアップもできるけど、初心者はやっぱりそんなところなんだな。売れっ子になればもちろん稼げるさ」
「つまり娼婦になるのですね」
「そう、その通りだよ。まずはFからだね」
「Fクラスですかあ?」
最底辺からのスタートだ。
貴族も底辺ならば、娼婦も底辺。
私の立ち位置は、どの世界でも底辺のようである。
「まっ、本当に困ったら相談にのるよ」
「はあ」
男は名刺を差し出した。
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