第2話 聖女と魔女2

◆◆ダリア視点◆◆


 目覚めは最悪。


 びしょ濡れになった寝間着が肌に吸い付く、あたしは魔女の力で一瞬で寝間着と身体を乾かすと、着ていた寝間着を脱ぎ捨て、クローゼットに仕舞っておいた式典用の服に着替えた。


「着替えるなら、先に言ってください」

「別にいいじゃない。女同士なんだし」

「そういう問題ではありません」


 このアホ聖女ことアウラは昔から真面目で堅苦しい女だ。

 いちいちあたしに突っ掛かるめんどくさい女だ。


 いつか、このアホ聖女を堕落させてやると誓いつつ、私は時計の針を見た。


 式典の開始時刻は九時。

 ここから式典会場までは三十分。

 現在、八時三十五分。


 五分過ぎている。走れば間に合うかもしれない、けど走るのは嫌だ。疲れるし、なら、どうするか、そう私には箒があるじゃないか。

 聖女とは違い、魔女は箒で空を飛べるじゃないか。

 せいぜい、遅刻しないように頑張って走ってくれたまえ、アウラよ。


「さて、と私はコイツで」

「何をしているのですか?」

「何ってコイツで空を飛んでいくのよ。何だったらあんたも乗せてあげてもいいけどぉ?」

「今日は空は飛べませんよ」

「え?」

「式典を狙ったテロ対策で空を飛べないように式典が終わるまで【飛行封じ】がされていますから」

「なら、式典会場までは?」

「ダッシュです」













 


 

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