聖女と魔女の二人旅
うすしお
第1話 聖女と魔女1
●●アウラ視点●●
聖女と魔女の争いが終結し、百五十年。
今日はその終結を祝う為の大事な式典の日。
だと言うのに、
「いい加減に起きてくれませんかね、このバカ魔女」
どうして、この私がダリアを起こさないといけないのでしょうか?
私は一時間前には身仕度を終えています。
しかし、家を出る三十分前にダリアの母親から連絡がありました。
『娘、寝てる。叩き起こせ』と。
こうして、私は気持ちよさそうに寝ているダリアを見下ろしています。いえ、見下しています。
どうやってこのバカ魔女をたたき起こそうかと。
「ふむ」
私は考え、シンプルな方法を選びました。
「水の聖霊よ、私に力を」
聖女は神や聖霊に祈りを捧げることで、その力を使えます。
今回、私が祈りを捧げたのは水の聖霊。
寝ているダリアの顔に桶一杯分の水をプレゼントしました。
「ぶっはぁー! なに? 一体何が起こったって言うのさ!?」
「やっと起きましたか」
「ちょっとあたしどうしてびしょびしょなわけ!? さては、あんた……っ」
「大事な式典の日に起きないダリアが悪い」
「だからって寝ている人間に水をぶっかけていいわけ」
「そもそもダリアが起きてさえいれば、私がわざわざ起こす必要はありませんでした。まったくあなたときたら」
幼い頃から家が隣同士というだけで、私はダリアの面倒をみてきました。
その都度思うのです、いつか改心させてみせると。
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