幼い頃の記憶のないオリバーは、海洋国・ヴェルレステ――『はじまり島』から生まれたと謳われる島で暮らす少年だ。
己の出自に心細さを感じる日もあるが、魔女・ライエと過ごす慎ましい生活に不満はなかった。
奇しくも、巡り会った少女・エルダの腕に自身の額と同じ呪いに囚われていると知ったオリバーは『はじまり島』を目指す旅に出る。
魅力的な世界観やキャラクターはさることながら、いろいろな愛を感じられる物語でした。
はじまり島に暮らす魔女とは? 呪いの原因は? 主人公の過去とは? 王族の秘密とは? 次々と出てくる展開に驚きと悲しみの連続と連鎖。それだけで終わらなかったのは誰かを想うさまざまな愛があったからではないでしょうか。
物語を読み進めていくと、主人公も含め、いろいろなわだかまりにぶつかり、葛藤し、苦悩します。
囚われていたのは、誰なのか。その答えを考えるために、ぜひ物語を紐解いてみてください。
子どもが頑張るお話が好きです。純真な心でもって立ち向かうひたむきさ、自分には無かったような気がして憧れちゃうのかな。そういえば昔から子どもと動物のドキュメンタリーとかに弱かった。でもまあみんな割とそういうところ、ありますよね?
幼少時の記憶を失う呪い、他人に触れられない呪いを受けた少年少女が、それぞれの呪いを解くために旅立つ物語です。
家族との関係にも恵まれていなかったりもするんですが、それでもとにかく優しい心を持つ子どもたちなんです。お互い傷つけてしまうこともあるけれど、ちゃんと相手のことを思い「一緒に、助け合いたい」と考えられる子たち。それだけでおばちゃんは涙腺ゆるんじゃうわけですが、呪いの原因となったエピソードといったらもう……!呪いまで愛おしくなっちゃう。みんな頑張ってるんだもん。
何回も言っちゃいますが、とにかく頑張る子どもが大好きです。そんな少年少女が主人公の物語がお好きな方、ぜひご一読くださいませ。おすすめです!
海洋国のヴェルレステで、魔女のライエと共に暮らす少年・オリバー。そんなオリバーの額には不思議な文字が刻まれていた。そして、国の王女であるエルダの腕にも同じような文字があり、二人はこの呪いを解くため、鍵を握る『はじまり島』を目指す。
子どもから大人まで楽しめる良質なファンタジー作品でした。とても面白かったです。
独自の世界観を築き、異世界を舞台としながらも、登場人物一人ひとりの想いがしっかりと感じられます。情景描写も繊細で美しく、頭の中に映像が流れ込んできました。
羨ましい、ズルい、あいつのせいだ……呪いに立ち向かう彼らの内に秘めた叫びには、共感するところがきっとあると思います。
些細な願いがちょっとした歪みが生じたことで呪いとなってしまう。呪いをかけるのも、呪いを解くのも“言葉”。オリバーたちの旅の行方を最後まで見届けてください!