第12話

コンクール参加曲が発表になった。


ピーク・グレーアム作曲

「ハリソンの夢」


私達は固まった…


中学生が演奏やる曲ではない…一歩間違えば雑音にしか聞こえない…ただ、成功すれば…間違いなく日本一になれる…先生は私達に賭けている、そう感じた。


一方、ライバルの華ちゃんの学校は「トゥーランドット」と情報が入った。一番優勝確率が高い曲でもある。守りに入っている…。

そして私達の楽曲を聞いて歓声を上げたとも聞いた。それを聞いて闘志が湧いた…。



私達の学校は順調に地区予選を勝ち抜いた。勿論、華ちゃんの学校も…。


ある日、家に帰るとお母さんが悲しそうな顔で私に言った。

「華ちゃん、楽器の運搬中、大怪我をしたって…」


「えっ!コンクールは?」


「コンクールどころか、この先弓を握れるか…」


私は直ぐにでも華ちゃんの所に行きたかった。でも2年前、華ちゃんに言われた言葉が蘇った。行く事が出来なかった…。


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