眠れる森の魔女
『ヨミ、行っちゃった…な』
私といえば話の分かる女。
『もぅ』
『早く帰ってきてね』
スズは、ヨミが転移した場所で待つことにすることにした。
さてと、
ドンッッッ(厚底鍋を置く音)
………………
…………
……
相変わらず暗い場所だよ。
『別に怖くない』
【神気解放】があるおかげで身体から
『静かでも怖くないもん』
音の
『……』『……』
『……(無言は怖い)』
暗闇に吹き出される炎の道。
その炎が放たれた場所を辿れば、灰色に近い黒のドレスの魔女風のウェディングドレスを着たしゅがーちゃん。
コスプレぽいな。
と、
『アーマードレス♪』
しゅがーちゃんの後ろに
そのまま動かないと余計に置物みたいなマーサちゃん。
赤黒くなった全身鎧にマーサちゃんが苦手な可愛いフリフリがふんだんに使われてるみたい。
本物のマーサちゃんなら鎧を
『正直1・2で、戦闘で
だから、
始めっから本気でいく!』
ヨミは自分自身に【MP最大値2倍】と【腕と脚での攻撃へ補正】のバフをかける。
『【
ゴキュッゴキュッ……ぷはぁ。
『【
【聖水】を流し込むまでの行程をこなして2倍にしたMPで【亡者の国】で骨の兵をズォォオッっと召喚する!
『1000体出す』
百体単位で次々に【スケルトン】を召喚し、ただ前に進ませるだけの戦術【死軍の行進】。
召喚した【スケルトン】を壁にして自分の身体を
『私の得意な肉弾戦に持ち込むからっ!』
クラン内では
まぁ、無いけど!
『【フランベ・シャワー】(ボソッ)』
【亡者の国】は使用者の周囲10メートルを発動範囲とするスキルであり、【スケルトン】の増え方から使用者の大まかな場所はバレるが、素早く動き回って
『【神斧一閃・絶】!!』
炎を認識する頃には目の前まで炎は
炎が移らないために周囲の骨を斧で
『あっぶなぁ〜…』
ーーーしゅがーの【
その発動対象にはもちろん、スキルで召喚されて肩に乗る【サラマンダー】から
つまり、【サラマンダー】の炎が1000体の【スケルトン】を全滅させる勢いで次々と燃やしているのだ。
『召喚キャンセル……やっぱ無理かな?』
【OTW】
召喚キャンセル(強制送還)ができない。
『……むぅ』『【
『風雷拳!!!!!』
チッ
骨と炎を風と雷で押し出したけど、後方のマーサちゃんが発動した12の盾に防がれた。
前回の戦いでも、これが厄介で攻め切れなかったんだよなー。
『さすが、クラン最強の盾だね』
それにしても、なにこれ?
【天翼】を発動して4枚になっても速度は変わらないっていうか、もっと操作が難くなったんだけど!
ーーー翼が無い人間にとって、
翼を操作して飛行すること自体が難しいはずなのに、さらに翼が増えたことで、操作の難易度が
かろうじて前に進んでいるヨミが異常だった。
『えええ!?』
焼けれて倒れた【スケルトン】が地面に残す炎の壁を【神激】で突破した先にお菓子で出来た家が建てられていた。
チョコレートの屋根、色とりどりのお菓子がはめ込まれた壁。
ポッキーと
ーーーちょっ、ちょっと、止まれぇええい!?
ーーーぁ、
ーーーゔああああああああ!!!
少年・少女(+ヨミ)の夢の家をヨミは体当たりでぶち壊してしまった。
それは、
………………
…………
……
土煙ではなく……お菓子の
ーーー【
スキル
【
衝撃を受けると周囲に炸裂するグミ。
『ッ』
全人類が夢見た家を壊して突入したヨミには、その罰のように散弾のグミが襲いかかられていた。
ヨミはネームド装備の【?の指輪】からアイギス
それは、
ヨミの逃走経路を
スキル
【コーティング】【菓子職人】スキル
特定の対象を固める。
私と一緒に家の中にいたしゅがーちゃんにも
小さな身体を【わたあめ雲】で包んで内側を固めたしゅがーちゃんは、わたあめのクッション性との二重
しかも、【星天】でガチガチ守ってるし……マーサちゃんも過保護だなぁ。
ガードした4枚の光翼がボロボロになるだけになってしまったし……
ネッチャァァ…
『気持ち悪い……【光翼】解除』
グミ襲撃中に【わたあめ雲】の
その白い物体は強力な接着剤となっている。
『【ガムガム・シロップ】』
『【ハニー・パヒューム】』
甘い匂いーーー毒!ーーー【危険察知】は反応しない?ーーーていうか、私【異常状態無効】だったわ。
なんのためにーーーやわらかっ
わたあめ雲を消して姿を現したしゅがーちゃんの手のひらから、
『【マシュマロ・キャノン】』
人間大のマシュマロが地面に張り付いた足を無理やり離しかけていたヨミに柔らかい
マシュマロの高い
『【エデンの
やっぱり。
レベルを上げている私のHPなら即死はないけど……全然、回復しない。
本来のヨミのHP自然回復量は充分にあり、戦闘中に最大HP(少ないが)をすぐに回復している。
だが、
新たに手に入れた称号【神罰】が神に関わるものに特効を与えるという効果を持っているために、【神気解放】状態のヨミの自然回復力は一般プレイヤー並に下がっている。
【OTW】でいう特効は追加ダメージのことであり、【神族】で【神族】のスキルを使用するヨミには
高い自然回復力で戦闘中に受けた小さなダメージなどを無視してきたが、ダメージと回復がほぼ
『HP回復のベッドだよ!(ドヤッ)』
あー、回復は気持ちいい。
(※ちなみに、回復は気持ちいい)
『【サラマンドル:超火力】』
マシュマロごとサラマンダーの火炎放射で燃やされてしまう。
そこに、ヨミに対する
『焼きマシュマロになるとこだった』
炎の中から少女が
巨大マシュマロと
単純な話。
私の身体が炎より高温になっているからだ。
……服は燃えてないよ?
スキル
【
体温を限界以上まで引き上げることができるスキル。
どこからどこまで上げれるかは使用者
しかし、使用者はヨミであった。
『一気に上げる!!!』
ヨミは特別ではあるが、
身体は人間の
ーーーしかし、炎を耐えるには炎を越える必要があり、約1900℃以上の温度になる必要がある。
500…800…1100…1400…1700…2000!!!!!
【ダイヤモンド・ドルフィン】戦でパッシブスキル【
『限界は3秒』
『【神速】【
内側から放たれる逃げることのできない異常な体温を、
本当は5秒までいけるかも…だけど、肉体の限界を超えてしまうとリスポーンを飛ばして強制ログアウトしてしまうので無理はまた今度にしよう!
『秘技!』
【神速】で速度を上げたヨミが走り出す。
【神威】でがっしりと両手で
いろいろなお菓子で
『【
『細工って言うほどの大きさじゃーーーわぷぅ!?』
飴で出来た蛇の体当たりを斧で
『ぐぐぐぐぐぅっ』
飴の中は動きづらいけど、この距離ならっ!
女神との戦いで
スキル【
『……飴で出来たしゅがーちゃん…?』
『【ハニー・パフィーム】』
再び甘い香りがヨミを包み囲む。
『またこの匂い?は?』
回復が
つまり、攻撃系のスキルではない。
そのことが、
ヨミをさらに混乱させて
『童話スキル【
このスキルは使用者を眠らせてしまうが、眠っている間は周りに広がる茨の森が使用者を守り、敵を迎撃する攻守可能なスキルである。
しゅがーの
つまり、闇しゅがーは寝ている間にも戦闘が続行できる。
『くっ』
【茨姫】は代償が大きいために発動範囲が広く、茨の
このままだと不利になると考えたヨミは、『【刃嵐】』を使って一気に茨を切り離した!
『【
『…………また?』
しゅがーが寝ながら放つ【灯火】も攻撃スキルではなかった。
それどころか、
ヨミに向けて放れた訳ではなく、近くにあった茨の先に灯ることで茨がトーチになっていた。
私のHPが少し回復してるし。
『何なのか分からないけど、油断していたら死ぬんだよ!』
斧を
『大きくな〜れ、大きくな〜れ』
ーーーその火トカゲって、デカくなるの!?
サンショウウオくらいのサイズから、コモドドラゴンくらいのサイズに大きくなったトカゲ……もとい【サラマンダー】に稲妻が走る。
『くそっ』
炎には雷は、いまひとつか。
『【ソフト・キング・クッション】』
『わぁーい♪』
しゅがーの
なぜなら、
【ツインネック・ヒュドラ】戦の
………………
…………
……
『ハッ!?』
私、寝てた…?
恐怖
【OTW】ではゲーム内であらかじめ設定することで寝ることが可能になる。
だが、
限度が3時間なために、本当に寝たい時以外に使うプレイヤーはいない。
しかし、プレイ中に寝てしまうプレイヤーは少なからずいる。
だが、
ヨミのように戦闘中に寝るのは異常であった。
『童話スキル【
スキル
【毒殺林檎】【童話】スキル
【
【仮死】とは、【睡眠】の上位の状態異常であり、【仮死】になると次にダメージを受けた時にしか起きられない。
『【回避】!』
あれは、危ない!
毒々しい紫色のリンゴの形に
『【灯火】【ハニー・パヒューム】【アロマ・エッセンス】』
『また、ねむぃ…』
私がたまたま聞いたしゅがーちゃんのあだ名は【メルヘン・クッキング】。
クッキングの部分は想像できたけど、メルヘンってルルちゃんのキノコの方がメルヘンぽくない?
って思ってた。
茨の森、甘い香りが
『どれもが私を眠たくさせてくるんだ』
『催眠術ってこと?』
正確には感情値にある隠れステータスの【ストレス値】をリラックス効果のあるスキルで下げることで、睡眠を
つまり、この戦術はリラックス効果のあるスキルを発動するごとに無効を無視する眠気から
ーーーヨミは【茨姫】を発動される前に闇しゅがーを倒さなくてはいけなかのかもしれない。
『【わたあめ雲:
『くっっ』
『やっぱり…………ハッ、また寝た!?』
スキル
【雷おこし】雷
触れると周囲に放電するお菓子。
『【芳醇な甘味、ほろ苦さ、甘い甘いチョコはいかが?】』
『今、それは、ヤバっ』
地面にも【金平糖☆爆弾】と【雷おこし】が散りばめられており、下手に
壁に張り付いたヨミに、大量のチョコが放たれる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈スズの差し入れ料理〉
一方、
ヨミに置いてかれたスズは
ーーー料理するには、充分である。
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