ネームド武器 爆誕!

 今日は、【】を歩いていた。


『【アーミー・アント】って、レアモンスターだったんだね』


 ここに来る前にあの森を通って来たけど、

 【到達とうたつ者】の称号をOFFにしてから多数のモンスターに襲われても、期待していた【アーミー・アント】には会わなかった。


『はぁ…。

 それにしても…、スズは太っ腹すぎるよぉ…』


 スズから貰ったこの【OTW】のヘッドギア。

 値段を調べてみたら予想の2倍の額で出品されてて、スズに支払うと言ったけど……


『いいよ♪いいよ♪

 ヨミにあげたんだから、お金なんて気にしないで貰って♪』


『いや…でも』


ーーー私、ヒモみたい。


『どうしてもって言うなら~、ヨミからもプレゼントが欲しいな~!』

『予算は1万円以内で!』


『でも…全然『手料理でも可!』』


『手料理でも!ていうか、手料理!!!』


『いや、それはさすがに私が優遇ゆうぐうされ過ぎ』


『いやいや、いやいやいや』


………………

…………

……


ーーーっというわけで、今回はゲーム内でドロップしたレアアイテムや武器をプレゼントにして、スズを喜ばせようと思います!


『また【インセクト・キング】を倒そうと思ったんだけど…』


 ヨミは【インセクト・キング】の素材なら良いプレゼントになると思ったが、出現条件の1つだと思われる【アーミー・アント】自体がいないため、どうしようもなくなっていた。


 そこで、


 最初に落ちた【始まりの大地】の丘に何かないのかと思って歩いてきたのだった。


『私が落ちた時の跡は……消えてるね』

『うーん……何もないか』


ぴこん♪



『えっ』


ーーーヨミは丘の頂上まで来たが、何もなかったので街に帰ろうと丘を降りようとした途端とたんに光に身を包まれる。


………………

…………

……


『ここは、……空?』


 見知った白い空間に立っていた。


 あの時は下に雲が広がっていたけど、今回は晴れていたため、足下に遠くの丘が見える。


『ヨミ!久しぶり♪』


 あ、リリス。


『えっと、何で私は呼ばれたの?』 


『それは、ヨミが使徒しとを倒したからだよ♪』


『使徒…?ネームドのことだよね?(かな?)』 

 そうだと、やばい…かな。


『そうそう!良くやったね!』


『えっ…使徒って神の使い的なものじゃないの?内心ないしんあせったんだけど……』


『ノンノン♪

 神の使いならしてないよ~』


『封印されてたの?』


『封印の期限が切れそうになったから、女神が世界に召喚されたって設定なの!』


 メタ発言やめなって。


『神になりそこねた者……邪神が産み出したのが使徒ーーーは、どうでも良くて♪

 今回のこのイベントはヨミに新たな力をさずけるイベントなの!』


『どうでもいいのね…って、力?』


『力が欲しい?』


 そりゃあ、貰えるなら欲しいよ。


ぴこん♪


しました。

 これより、プレイヤー【ヨミ】には、が与えられます≫


『………は?』


ーーー私の【インセクト・キングのコア】が…!


 リリスが手招てまねく動作をすると、ヨミの前で勝手にウィンドウが勝手に開き、【インセクト・キングのコア】が物質化してからリリスの手のひらへと、ふよふよと飛んでいく。


『もーらい♪』

『これを~、コネコネしてぇ~』


 占い師が使う水晶玉みたいだったコアが女神の前で水のように溶け出し、女神の手でコネコネされる。


 んだり、ハンバーグみたいに空気を抜く動作をしたり、コネくりまわしてる時に小さな模様が空中に浮かび上がる。


『え~、なになにぃ?

 打撃系でMPをたくさん使うスタイル?

 女神なのに魔法がほとんどない?』


 ちょっと気にしてることを……


『ふむふむ。なるほどー、これをかせば…こうしたら良いかな…うん……こっちの方が面白いかな』


 なんか、ブツブツ言ってる。ちょー不安だわ。


『よし、出来た!』



≪【インセクト・キングのコア】を使用して、ネームド武器を作りました≫



『あなたが落としたのはですか?な~んて♪』


ーーーリリスが両手で半固形のコアを潰したと思ったら、腕を広げると、それにともなって伸びるように変化し、リリスの手のひらに長い斧が現れた。


 斧は、斧でも……ハルバードだね。


 つかに蟻の脚がまとわりつき、に雷光が走った様に刃文はもんが広がった長さ2メートル弱の斧と槍が合体した武器が生まれた。


『はい、返すね!』


『重っ……くない?』


『本当はめちゃくちゃ重いんだよ~?』

『その武器は装備すると【神気解放】が発動するの!』


『まじか!…本当だ!』


 さっそく装備した私の身体は【神気解放】状態になっていた。

 【神気解放】スキルの横にPが付き、パッシブスキルになったことが分かる。



蟲毒こどくたばねる斧≫

 【神斧パラシュ】両手斧

 その美しさの裏には、むし達の怨念が宿やどっている。

 力を求めた者に力を与え、殺戮さつりくを求めた者には、さらなる力を与える。


 装備すると自動的に【神気解放】状態になる。

 MPを込めることで斧の威力が増加し、敵が放ったスキルより、攻撃力が勝っている場合は斧で相殺そうさいが可能になる。

 【攻撃】を補正(極大)する。

(※装備時の【神気解放】はパッシブスキルとなります。)


【防御】+150

【魔防】+150

【速さ】+300


[装備スキル]

・【最終決戦状態ラグナロク

・【神斧一閃 : 絶】

・【蟲の邪念は天をつらぬく】



ーーー武器の性能を見て驚愕きょうがくしてしまう。


 嘘でしょっ…!


『この武器……強すぎっ!?』


『そりゃあ、ネームドだからね!』


 リリスがその豊かな胸を張って威張いばる。


チッ


『でも、武器なのに【攻撃】が上がらないんだね』


『【神気解放】は、一番低いステータスを強化するスキルでしょ?』

『ヨミって【神気解放】を【攻撃】に向けたいだろうし、【攻撃】にく分を低かった【速さ】に回したんだよ♪』


 それはありがたい。

 ネームド戦の後、レベルアップ時のステータスポイントは【速さ】に振ったんだよね。


『ネームド装備は女神を通して、武器になるのです!』


『おぉ~♪』


パチパチパチパチ!(拍手はくしゅ


『えへへへ♪』

『それじゃあ、イベントも終わったので、ヨミは戻されまぁ~す♪』


 おっと、これは聞いておかないといけない。


『リリス、ちょっと待って』

『他のネームド武器を作る時もここに来ればいいの?』


 『そだよ~♪』っとリリスは言って、私は強制的に転送された。


………………

…………

……


 再び、【始まりの大地】の開けた丘に転送されたヨミは、周りに人影が無いことを確認すると、意図いとせずに強力な武器を手にしたことに喜びを爆発させた。


『ワクワクしてきたぁーー♪♪♪』


ーーーこの後、興奮によって戦闘意欲が刺激されたヨミが武器の性能を確かめるために森のモンスターを狩り続ける殺戮さつりくマシーンとなり、ゲーム内で夜になってからようやくログアウトしたのだった。


『あ、忘れてた』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る