ネームド戦の戦利品

≪戦闘フィールドから出ます≫


ぴこん♪


≪スキル【ライトニング】を覚えました≫

≪スキル【三日月蹴り】を覚えました≫

≪スキル【ぶっ飛ばし】を覚えました≫

≪スキル【跳躍ちょうやく】を覚えました≫


………………

…………

……


 【インセクト・キング】に勝ったヨミは、現在、号泣ごうきゅうしていた。


 これでは、せっかく勝ったヨミは敗北者に見える。



『わ゛たしの…、私の【】があああああ』

『【ダイヤモンド】の指輪(の夢)があああ!!!』


 ヨミは運営からのおびのアイテム【ダイヤモンド】を使って【インセクト・キング】の鉤爪かぎづめの攻撃を防いだのだ。



[アイテム]

【ダイヤモンド】売却・合成素材

 この世で一番固いと言われている石。

 高値で取引される。

 装備に合成すると装備の【防御】+50追加する。



『クソアリめっ!乙女の夢をくだきやがって!』


 そう…、


 【ダイヤモンド】は、あの触れれば即死であろう攻撃を耐えてはいたが、その一撃にしか耐えられず……今は、手の中で粉々になっていた。




 5分後。


 ひとしきり【インセクト・キング】に悪態あくたいを吐き、【インセクト・キング】が倒れてた場所を荒らしたことで少し冷静になったヨミはウィンドウから時刻を確認する。


『やっば!スズを待たせちゃう!』


 鈴奈すずな、もとい、【スズ】との待ち合わせ時間がせまっていた。


 あわてて、街に向かうため走り出す!




 今から森を抜けるヨミが称号【破壊者】をOFFにしていなかったことに気づくまで行く先々でモンスターと遭遇そうぐうするのは余談である。


………………

…………

……

 

 【マルク領】の街門に着くと門の前にはスズが立っていた。


 視力が良いヨミじゃなくても、スズの顔が満面のみに変わったのが分かるだろう。


『ヨミ~♪愛してるぅ~♪』


『いきなり何言ってんの!?あんた!?』


『ん?本気本気☆』


『そこは、冗談じょうだんでしょ!』


『それより、ヨミ…やりやがったね?』


『あ、やっぱり広まってる?…のこと』


 周りには人が集まっており、スズが【ヨミ】と言ったのでプレイヤーの好奇こうきの目をひしひしと感じる。


『とりあえず、

 どこかで座りながら話そうか?』

『そうねぇ…、商人ギルドで貸されている個室に入ろう』


『へぇ~、商人ギルドがあるんだ』


『ヨミが不自由しないように、そのへんは、みっちり情報を仕入といた♪』


『できる女は違うねー』


『えへへ~♡

 好きになっても良いんだよ?』


 スルーして商人ギルドの受付で1000コインで貸されている部屋を借りる。


 スズがコインを払うと、すぐに部屋の中に転送された。


 近くにあった椅子に座ったら、さっきまでの私とアリの激闘と職業【女神】をかいつまんで話しつつ、スズから貰った【いちごミルク】を飲む。


 これ美味しいね。


『へぇ…そんなことがあったんだ』


『もう、へとへと』


『それで、これが職業【女神】ねぇー』


 スズには隠す気が無いので、私のステータス情報を送っていた。


『ん。ありがと』

『次は、私のを送るよー』


スズ Lv.13

種族【人族】

職業【盗人】Lv.13

HP 4100/4100(+2100)

MP 6100/6100(+4500)

攻撃 239(+110)

防御 200(+140)

魔攻 196(+100)

魔防 200(+140)

速さ 325(+60)



『えっ、【盗人ぬすっと】なの?』

『スズ。【弓使い】や【付与術士】とか支援系ばかりやってたのに、意外』


『ふふっ、これなら~、もっとかな?』


 スズがパチンッと指を鳴らすと、ウィンドウが、


スズ Lv.13

種族【獣人 : 兎族】

特殊職【怪盗】Lv.13

HP 4100/4100

MP 6100/6100

攻撃 239

防御 200

魔攻 196

魔防 200

速さ 325


に変わり、頭に立派りっぱえた。


『え…、んええええ!?』


 ステータスに驚き、顔を上げた時に目にうつるウサギ耳にさらに驚く。


『あはは♪【怪盗】スズ参上!』


『特殊職なのスズ!?』


『私もヨミと同じく、リリスと会話したりしていたらクラスチェンジしたんだよー』


『ど、どうやって?』 


『ひ・み・つ』

『それより、これからパーティー組んで狩りに行こう!』


 話は終わったとばかりにスズが立ち上がる。


 私、今来たばかりなんだけど。


『ちょ『さぁ、出発!』まだ街に入ったばかりなのに』

『……分かったわ。行くけど、その前にトイレとお昼ご飯よ』


………………

…………

……


 ヨミ達はスタート地点を街門にしてログアウトし、食事などを済ませてた後、ヨミだけ先に【OTW】にログインする。


 鈴奈は宿題を終わらせてないのが鈴ママに見つかり、メイド長に監視されながら、


『先に【かわいた平野】に向かってて!あと40分で追いつくから!


 私を気にしないで、先に行けっ!』


と言っていた。



 何で入学したての宿題に40分もかかるの…と、ヨミはあきれながら【マルク領】から【渇いた平野】に向かうのだった。


ーーー見渡すかぎり、干からびて割れた地面の上。


 【渇いた平野】に着いて10分くらいぎた時の感想である。


『まだ…時間あるし、ステータス・オープン!』


ヨミ Lv.23

種族【神族】

職業【女神】Lv.23

HP 2500/2500(800↑)

MP 9300/9300(800↑)

攻撃 130(110↑)

防御 196(116↑)

魔攻 438(48↑)

魔防 136(16↑)

速さ 140(80↑)


『今回(対アリ戦)手に入ったのは、』


[スキル]

【三日月蹴り】技

 三日月蹴りがクリーンヒットした場合、弱点攻撃となるアーツ。


【ぶっ飛ばし】技

 手足、または、武器での攻撃後に【ノックバック】するアーツ。


【跳躍】技

 ジャンプの最高到達とうたつ点が上がるアーツ。


[条件]

・地面から3メートル以上離れる。


投撃とうげき】技

 手でつかんだものを投げるアーツ。

 バランスを自動でアシストする。


【タックル】技

 敵に向かって突進する。

 反動でダメージ(小)が入る。


[条件]

・【体当たり】を覚えている。


【雷神の拳】技/雷 【神族】

 左右どちらかの手から稲妻を放つ。

 稲妻に触れた敵に【麻痺まひ】を付与する。

(※発生した雷で、自分が【麻痺】にはなりません。)


消費MP500


[条件]

・【ライトニング】を覚えている。

・【攻撃】が300以上



[称号]

【到達者】

 称号持ち(ネームド)と単独で戦い、無傷で倒した者に与えられる称号。

 人のいきから外れた存在。

 一部のキャラの友好度が上がる。

 自分より弱いモンスターから逃げられ、強いモンスターに狙われやすくなる。

 全ステータスを補正(大)する。


【攻撃】+100

【防御】+100



ーーー【体当たり】が【タックル】になって反動ダメージが(中)から(小) になったり、魔法の【ライトニング】が雷属性のアーツに変化したみたい。


『【体当たり】は反動が大きいみたいだから戦闘には使ってなかったけど、使わないまま変化しちゃったね』


 そして称号の【守護者】と新しく手に入れた【ネームド単独討伐たんどくとうばつ者】を融合したのが【到達者】……人外認定されてるんですけど!?私、女神だけど!


『と、とりあえず、【到達者】をONにして』


 次は戦利品!


[アイテム]

【ダイヤモンドの欠片】合成素材

 砕けたダイヤモンドの欠片。

 錬成素材として装備に合成すると【防御】+20


 ダイヤモンド……の欠片。


【インセクト・キングのコア】合成素材

 使徒しとが倒された時に、使徒の力が集まるとされる魔石。

 それを使って出来た武器、または、装備は倒した使徒の能力をと言われている。


蟲王こおうの外骨格】素材

 【イノセクト・キング】の身体の表面をおおっていた固い皮膚と骨。

 鎧、脚部装備、籠手こてに使える。


【蟲王の鉤爪かぎつめ】素材

 【イノセクト・キング】の鉤爪。

 斬撃系武器に使える。


【蟲王の羽】素材

 【イノセクト・キング】の羽。

 衣装やアクセサリーに使える。


【蟲王のまなこ】アイテム

 【イノセクト・キング】の目。

 と、スキル【蠱惑こわくの魔眼】を覚える。



[装備]

【到達者の証】アクセサリー

 人の域を越えた証。

 いろいろな場所で優遇ゆうぐうされる。


黒光くろびかりの羽盾】大盾

 黒く光った盾。鋼鉄のように固い。


【防御】+80


【黒光の王顎おうあご】籠手

(左右の装備可)

 黒く光ったメリケンサック。

 装備者の拳にあごはさまり、戦闘中に外れないようになっている。


【攻撃】+30

【防御】+15


『【蟲王の眼】って食べるの?……これ、食べるの?』


 少女の小さな手のひらには、アイテムらんから取り出した、手にギリギリサイズの目玉が1つある。


ーーーどうしよう。


 少し大きいくらいの薬みたいなものなら飲み込めるのに、これはいけないよね。



 乙女として、断固拒否!



ーーーできるはずもなく、【魔眼】の魅惑みわくに負けた。


 目からだんだんと光を失いながら、ヨミは黙々もくもくと食べていくのだった。


『意外と美味しかったよ』


ぴこん♪


≪スキル【蠱惑の魔眼】を覚えました≫


[魔眼]

【蠱惑の魔眼】【魔眼】

 MPを消費することで、対象に【混乱】と【魅惑】を付与する魔眼。

 異性、蟲系モンスター、魔力防御が自身より低い相手に対して付与される確率が上がる。


消費MP500

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