アメリカ独立戦争(南部戦線)-1
ヴァージニア植民地では、レキシントン・コンコードの戦いの翌日にあたる1775年4月20日、火薬事件が起こっていた。ヴァージニア植民地の総督ダンモア卿が、ウィリアムズバーグに保管していた火薬をジェームズ川のイギリスの武装船に移そうとしたのである。
彼は植民地の社会不安が増していると判断し、ヴァージニア民兵から暴動に必要なものを取り上げようとしたのだ。そこため、パトリック・ヘンリーに率いられた愛国者民兵隊が、ダンモアに火薬の代償を払わせようとする。
ダンモアは、翌月も軍事物資や補給品の貯蔵所を掴もうとし続けたが、愛国者民兵隊はその動きを予想していたため、ダンモアの到着前に物資を移動させておくことに成功した。
アメリカ独立戦争が始まると、ダンモアは1775年11月に奴隷解放宣言を発している。そして、逃亡奴隷に自由を約束し、イギリス軍側で戦うよう訴えたのだ。
11月のケンプスランディングの戦いにおいて、ダンモアの部隊は愛国者民兵を殺し、捕虜にしていた。12月9日、大陸軍がダンモア指揮下の解放奴隷を含むロイヤリスト軍をグレートブリッジの戦いで破っている。この敗北後、ダンモアと指揮下の部隊は、ノーフォーク沖に停泊していたイギリス船に逃れることとなった。
1776年1月1日、ダンモアはノーフォークの町を砲撃し、焼き払っている。ダンモアはその夏、チェサピーク湾の島から追い払われ、二度と戻ることはなかった。
イギリス軍が南部を再度支配するためには、物資と軍隊を運び込む港の確保が必要となる。
1776年6月、その目的のため、ヘンリー・クリントン将軍指揮下のイギリス軍がサウスカロライナ植民地のチャールストン港にあるサリバン砦を攻撃した。クリントンは、サリバン砦のあるサリバン島に隣接するロング島に2200名の部隊を上陸させる。しかし、彼はその地域の事前偵察を行う命令を出しそびれていた。2つの島の間の海峡は、かなり深く、歩いて渡るわけにはいかなかったのにもかかわらずだ。
仕方なく、クリントンは乗ってきた船に再度乗り直して攻撃に向かう代わりに、イギリス海軍の指揮官ピーター・パーカー卿にサリバン砦の防御力を落としてくれるよう依頼する。しかし、イギリス軍艦の砲撃は、砦の防壁の大半に使われていた多孔質のヤシ材には効果が無かったのだ。そのため、パーカーは目的を果たすことができなかった。これは、不面目な失敗であり、クリントンのカロライナ方面作戦は中止される。
その後、ロイヤリストに対する支援が3年間無かったために、1780年までチャールストン港を大陸軍側の用に供させてしまう。そのため、チャールストン奪取の失敗によって南部は失われたと言われている。この時のサリバン砦の指揮官はウィリアム・ムールトリーであり、戦いの後に砦の名前はムールトリーとなった。
1776年初期、ジョージア植民地の総督が追放され、その帰結としてライスボートの戦いでサバンナ川にいたイギリスの艦隊がジョージアとサウスカロライナから追い出されている。
その後、大陸軍側はイギリス領東フロリダにあるセントオーガスティンのイギリス守備隊を破ろうと何度か試みた。そこの守備隊は、ジョージアなどの南部植民地から逃れてきたロイヤリストの活動を積極的に支援している。そして、ジョージア南部の牛など物資を求めて襲撃してくる部隊でもあった。
大陸軍の最初の試みは、南部方面軍の指揮官にチャールズ・リー就任した後に行われる。そして、リーが大陸軍主力に呼び戻されたために失速した。
2度目の試みは、1777年にジョージア植民地知事のバトン・グインネットが企画している。南部方面軍の新しい司令官ロバート・ハウのの支援のもとに行われた。しかし、この遠征はグインネットと指揮官であるラックラン・マッキントッシュが、何事にも合意できなかったために失敗に終わっている。ジョージア民兵の数個中隊が実際に東フロリダに侵入したものの、5月のトマスクリークの戦いで撃退された。
最後の遠征は、1778年初期に2000名以上の大陸軍と民兵隊が編成されたている。この時もハウとジョージア植民地知事のジョン・ハウストンの間で、指揮権を巡る諍いが起こっており、結果として失敗した。
6月下旬、アリゲーターブリッジにおいてイギリス軍とアメリカ民兵部隊の間で簡単な小競り合いが起きている。しかし、結果としてフロリダはイギリスの確保したままであった。
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