第3話 伝説2
「で、私は何をすればいいの?」
「まずは霊気をコントロールしてもらいます。」
幽霊の家庭教師の天使と幽霊彼女の霊気を扱う特訓が始まる。
「霊気のコントロール?」
「そうです。霊気を一点に集中させて波動砲の様にはなったり、霊気を複数に拡散して放ったり、霊気で全身を覆ってバリアを作ることもできます。」
「霊気って便利なのね。コンビニみたい。アハッ!」
「ちょっと違うな・・・・・・。」
幽霊彼女は霊気の説明に納得した。
「人間界のイメージでいえば超能力です。霊気を扱うのは物を動かそうと念じるのと同じ様な感覚です。」
「超能力? サイキックってやつね。テレパシーとかサイコキネシスね。」
幽霊彼女は霊気の扱い方も理解した。
「それではやってみましょう。霊気を指先や手の平に集めてみましょう。霊気のエネルギーです。」
ピキーン!
彼女の中で何かが目覚めた。
「こう?」
新米幽霊の彼女だが、あっさりと霊気を集中して圧縮させる。
「おお!? すごい!? いとも簡単に霊気を操るとは!?」
「やったー! やっぱり私って天才なんだわ! アハッ!」
(やはり神様の言った通り、この娘は只者じゃないんだ!?)
幽霊彼女の才能に唾を飲む天使。
「それでは次に一つに集中した霊気を半分に割ってみましょう。」
ピキーン!
また彼女の中で何かが目覚めた。
「ごめん8等分にしちゃった。」
「い、いいんですよ。たくさんに分散できることは、それだけ霊気を扱えるということですから。アハハハハ・・・・・・。」
引き笑いする天使。
(まずい!? 天使の私ですら4等分しかできないのに!? 今日、幽霊になったばかりの者が霊気を8等分できるなんて!? ありえねえ!?)
幽霊彼女の存在は天使を超えた。
「では、次は霊気でバリアを張ってみましょう。」
「これでいいの?」
「ええー!?」
既に幽霊彼女は霊気で自分の体を全て覆う霊気バリアを張っていた。
「さすが私の教え子。霊気の扱いに関しては完璧ですね。」
「先生の教え方がいいからですよ。」
「そ、そうですか。嬉しい。アハッ!」
幽霊彼女は謙遜する。すると天使も面目が守れるので機嫌がよかった。
ピキーン!
天使が何かを感じとる。
「そろそろ渋谷に向かう彼氏に危機が迫っているようですね。」
「なんですって!?」
心配そうに彼氏の様子を見てみる幽霊彼女。
「伝説の男になって、死んだ彼女を生き返らせるんだ!」
彼氏は青信号の横断歩道を渡っていた。
ブーン!
そこに猛スピードで車が突撃してくる。
「危ない!?」
彼氏は気づかずに呑気に横断歩道を渡っている。
「さあ、あなたの霊気で彼氏を救うのです。」
「はい!」
ピキーン!
幽霊彼女の霊気が瞬間に高まっていく。
「私の彼氏に近づくな!」
車を睨みつける幽霊彼女。
ドカーン!
次の瞬間、車が吹き飛んで壁にぶつかり炎上した。
「あれ? 事故かな?」
やっと彼氏は車の存在に気がついた。
「彼氏を守れましたよ。天使様。アハッ!」
「よくできました。あなたならやってくれると信じていましたよ。アハハハハ・・・・・・。」
(なんて恐ろしい女なんだ!? 霊気のエネルギー破でも打つところを、ガンだけで車を弾き飛ばしやがった!? なんという霊気を持っているんだ!?)
内心、天使は幽霊彼女が怖くなっていた。
「私を生き返らせるために危険を顧みずに進んで行く私の彼氏。カッコイイ! キャアー!」
幽霊彼女は自分が愛されていることに大喜びだった。
「今の車はただの偶然だと思いますか?」
「え? 違うんですか?」
「恐らく、邪女の手下があなたの彼氏を車で引き殺して連れていこうしたに違いありません。」
「ぬわんですって!?」
先ほどの交通事故は邪女の仕業だった。
事故現場。
「イタタタタタタタ!? 危ないじゃないか! もしも俺が幽霊じゃなかったら、今頃死んでいる所だぞ!?」
邪女の手下の悪霊。
「クソッ! 今度こそ彼氏を殺して、邪女様に捧げてやる!」
悪霊は忠実なる邪女の手下であった。
つづく。
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