灰の物語

水結 晶氷

第1話 痛む古傷



……た…

……い……て…………い…け……

……そ…よ…


ギガント)うぅ…


…な…!


ギガント)うわあぁぁ!!

半人半神の男ギガントはベッドから起き上がる。

ギガント)…はぁ…はぁ……

過呼吸なくらいに息が荒い。

ギガント)…また…

気づいたら涙を流していた。血の様に…

ギガント)…朝ごはん食べよ…

ベッドから出てキッチンに向かう。

途中洗面所の鏡を見て灰色の髪がボサボサなのに気付き少し整えてキッチンに着く。

ギガント)…(…君がもし…居てくれてたら…いや…僕のせいで…)

心の中で後悔の念を吐きながら目玉焼きとソーセージを焼く。

ギガント)…いただきます…

机に目玉焼きとソーセージとパンを乗せて食べ始める。

ギガント)…(君を失ってから…どのくらいたったんだろう…)

食べ終わり使ったものを洗う。水は冷たい。

だが、不思議と嫌とは思わなかった。

いや、むしろあの古傷に比べれば…




ギガント)………苦しくない………



ギガント)…

着替えて外出する。町は魔法と科学が共存している。古いが新しい感じがする風景。

なにより…



平和だ




少女)うわぁん!

少女が泣いている、どうしたんだろう?

ギガント)どうしたの?

少女)たいせつなまるちゃんがおちちゃったの…

少女は深い川の方に指を指す、奥深くに丸い人形があった。

ギガント)わかった、おじさんが助けてくるからじっとしていてね!

少女の頭を撫でて、川に飛び込み探し始める。

ギガント)…(このように君を…助けられたら…)


しばらくして


ギガント)おまたせ!まるちゃんだよ!

笑顔で少女に丸い人形を渡す。

少女)ありがとうおじさん!

少女は元気な顔になって走り去る。

ギガント)…大切にね…

ずぶ濡れになったが少女の笑顔を守れたならいいかと思い、

散歩を続ける。

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