はみだしミニーチェ『生の哲学者』

 ニーチェの過ごした19世紀後期。

 普墺戦争、普仏戦争など、戦争も多くニーチェも従軍した。

 また食糧事情や医療技術など、現代とは比べるべくもない厳しい状況だった。


 そんな状況の中で、人々は現実の厳しさと向き合うための現実逃避としてキリスト教などの共同幻想を求めた。


 これまで述べてきた通り、ニーチェはその現実逃避を否定する。


 宗教や道徳、真理などが問い続けた人生。

 なぜ生きるのか、なんのために生きるのか。


 ニーチェはその問いかけを無視する。

 替わりに彼が突き詰めたものが『どのように生きるか』だ。


 真理など観念をつきつめる哲学に対して、ニーチェは生の哲学者と言われた。


 現代は19世紀に比べれば格段に豊かになった。

 生物という視点で見れば人間は間違いなく生きやすくなっているだろう。


 しかし現実を生きている我々にとっては、それはそれで悩みもストレスもあるし、昔に比べたらマシだろって言われたところで今ある苦しさが消えるわけでもない。


 人はそれぞれ問題を抱えている。

 それは貧富や権力などの差があっても同様だ。


 現代の情報化社会は、どうしても他人の評価が目に入ってしまうために自縄自縛になりがちである。


 でもそんな他人の評価を眼中に入れない自分の欲求に正直な行動『没入』こそが生きていく上では重要となる。


 ただ好きなだけでいい。

 わざわざ他人に語る時に照れ笑いをして蔑む必要もない。


 そんな時間を少しでも多く持てれば、それは幸福な人生と呼んでよいだろう。


 すべてはあなたの人生だ。

 どんな失敗も悲しみもなかったことにはならない。


 ならばそれらを肯定しないことにははじまらない。


 ニーチェはそんな欲望に身を委ねる生き方を後押しする。

 それは現代に悩む人たちにとって、大きな力になってくれるものだろう。



 はみだしミニーチェはこれで終わりです。

 そして物語の方はいよいよクライマックス。


 もしニーチェに興味を持ったなら彼の著書を読むことを薦めます。

 はじめは何が書いてあるのかもわからないかもしれませんが、これまではみだしミニーチェを読んできた方ならアウトラインはわかるはず。


 そして実際にニーチェに触れた後、あなたはきっとこう言うと思います。


「そんなこと書いてねーじゃねぇか!」

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