はみ出しミニーチェ『遠近法的思考』
ニーチェが生きた19世紀は、印象派の台頭もあり絵画芸術が花開いた時期であった。
その絵画における手法の遠近法は、人間の意識の中にもあるのではないかと仮定した考え方が遠近法的思考である。
絵画における遠近法は、ざっくりと言えば近くにあるものは大きくくっきりと色鮮やかに、遠くにあるものは小さくぼんやりと色褪せて見えるというものだ。
人間の思考も、自分にとって興味のある身近な事柄ほど重要に思え、一方であまり興味のない事柄はどうでもよく思えてしまう。
一つの事象があったとしても、それに対してそれぞれの視点から異なる印象、解釈が生ずる。
というのが遠近法的思考である。
他者と議論をする時に、そういう認識があるという前提がなければ相手の意見をねじ伏せるだけで終わってしまう。
例えばマウンテンゴリラとニシローランドゴリラのどちらと一緒に暮らすべきかという議題があった場合に、絶滅危惧種で個体数の減っているマウンテンゴリラこそ幸せにしてあげたいという視点もあれば、マウンテンゴリラはちょっと気性が荒いので穏やかなニシローランドゴリラの方がいいのではないかという視点もある。
ただしニシローランドゴリラは樹上生活が主なために、現代の日本の住宅事情だと難しい部分があるのも否めない。
だったらクロスリバーゴリラはどうなんだという意見もあるが、クロスリバーゴリラは身体が大きな個体が多く、それ故に狭い家屋の中ではストレスになるのではないかという懸念も出てくる。
クロスリバーゴリラはニシゴリラの亜種ではあるが、マウンテンゴリラよりもさらに希少で絶滅危惧種なので共同生活にも重大な責任が伴う。
このようにどのゴリラが好きかという価値観の違いにより意見の相違が出てしまうが、実際にはゴリラがただいるだけでしかなく、個人個人の視点の違いに過ぎない。
また、今まで話していたこのゴリラの話題すら「どうでもいいよ!」と思ってる人。
恐らく自覚はないだろうけどチンパンジー派だ。
まずは何が大事かという観点には、自分自身の遠近法的思考が存在すると自覚することからはじめなければならない。
わかったか? このチンパンジー派め!
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