はみだしミニーチェ『アポロンとデュオニソス』
『悲劇の誕生』の中で語られる重要な構図としてアポロン的とデュオニソス的というのがある。
アポロンはギリシャ神話の超有名神様で、詩歌文学を司るとも言われている。
人類が月へと行ったアポロ計画も、それを模したいちごチョコのアポロも元はと言えばこの神様というくらい我々にとって馴染みのある神様である。
太陽神いわれ、理性を司る神とも言われている。
一方でディオニソスは初めて聞く人もいるかも知れないというくらい、現代日本においてそんなに身近な神様ではない。
ひょっとするとお酒の神様バッカスという名前で聞いたことがある人がいるかも知れない。
そこから享楽の神とも言われている。
ニーチェはこのアポロン的とデュオニソス的なアプローチを融合または対比させることによって、ギリシャ悲劇や現代ドイツ文化について言及する。
当時の世間一般の倫理観ではデュオニソス的な享楽主義はネガティブなイメージを持たれていた。
しかしニーチェは、デュオニソス的な情動や感性に注目する。
いくら抑えつけようとしても出てきちゃうこの衝動は人間的に重要なものなんじゃないか。
そしてそれをアポロン的なものと単純な対立構造におかないところがキモになる。
芸術は「ちゃんとしたい!」と「ぶっ壊したい!」がせめぎあってできてきた。
このアポロン的なものとデュオニソス的なものが合わされば1+1=2ではなく無限のパワーで無敵になれるという、みんな大好きなアレを主張する。
ただそれは、前述したとおりソクラテス的な理知的批判精神により死につつある。
でもみんな、諦めるのは早いぜ。
俺たちのワーグナーはデュオニソス的な精神の持ち主だ。
ニーチェとワーグナーが合わされば、無限のパワーで無敵になれる!
ワーグナーのニューシングル、Now on Sale!
と言った形で大好きなワーグナーのプロモーションをしながらドイツ文化の復権を願うニーチェ。
後年、ワーグナーとも仲違いをして捻くれて理想を求めることもなくなるが、若いニーチェの鼻息の荒さ加減はそれはそれで趣があります。
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