2020.2.1



 二人きりでの舞台は、どうしてかすごく、震えが収まらなかった。別にあいつがいなくたって、ボクたちはボクたちらしくあればいい。社会風刺と誇大妄想と虚栄心とちっぽけな幸福感と。


 ボクの幸せは、みーくんといること。みーくんの幸せは、ボクやあいつが笑っていること。だから、こんな震えは無理矢理服の中に突っ込んで、あいつがいなくても大丈夫だよって、胸を張って言えるように。


「──みーくん! 行こう、ボクたちふたりの、幸福の舞台に!」


 伸ばした手は震えていなかったかな。ボクはちゃんと、みーくんが幸せと思える笑顔を作れていたかな。

 強く、ありたい。みーくんがひとりで抱えちゃわないように。白鶯士葵はくおうしきを見返せるように。


 ボクが、世界一可愛くて、世界一かっこよくて、世界一幸せだよって、笑えるように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

HAYABUSA ON STAGE 高城 真言 @kR_at

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ