2019.12.14
街はクリスマス一色に染まっていた。街がそうってことは、ボクたちが出演するクリスマスライブももうすぐそこだ。
「ねーねー、今年の打ち上げはどこ行く?」
大きなステージのあとは、三人でご飯に行くのが習わしだった。クリスマスはレストランの限定メニューが増えるから楽しい。けれど、そんなボクの高揚感とは裏腹に、うちの問題児は練習が終わるや否や身支度を整えた。
「俺、パス」
「はあ〜? なにそれ〜! まあ、みーくんと二人でもボクは別にいいけどお!」
ねー、とみーくんを見れば、いつだったかと同じ曇った顔で。ボクの向こうに手を伸ばす。
「シキ」
「放せ。行かねえっての」
「お願い」
「……チッ」
みーくんは何を焦っているんだろう。大きな舌打ちを落とした白鶯は、仕方無しにと腰を落とす。
「けっきょく行くの? ……ていうかさ、このあいだから、なんなの」
みーくんはじっと白鶯を見つめていて。白鶯は、そんなみーくんから逃げるように視線を逸らしていて。どうしてボクだけ蚊帳の外。
「……まあ、いいけど」
なんとなくいたたまれない。だから全部飲み込んで、ボクは行きたいレストランのホームページを開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます