2019.11.29

「ねえ、昨日みーくんがお前のこと探してたけど」

 翌日、ボクはいつも通りに仏頂面で授業を受ける白鶯はくおうに迫ってやった。けっきょく昨日はみーくんも戻ってこなくて、白鶯も来なくて。ボクひとり、広い練習室で虚しく体を動かしていた。

「……あっそ」

「はあ? なにそれ。ていうか昨日練習サボって何やってたのさ。ボクとみーくんの時間を無駄にした罪は重いからねぇ?」

「うるせぇな」

「うるせえって…… ほんとお前、何様のつもりなの? 反省の色が微塵も見えないんだけど」

 少しだけ、八つ当たりも含んでやった。真面目なんだか不真面目なんだかわからない。天才的アイドルだなんて持て囃されて、こいつは天狗になってるんだ。そう思ってたから。

「それなら二人でやればいいだろうが」

「そうしたいのは山々ですけどぉ、ボクらはMesseRメッセなの。リーダーのお前無しでは成立しないんだからね、腹立つけど!」

「だから、てめぇら二人でやればいいだろ」

「だーかーらー……もう、話通じないし。はあ、みーくんに会いたい」

「……」

 それっきり、白鶯は言葉を返さなくなった。言い過ぎたのかな、いやでも事実だし。こいつがすぐ不機嫌になるのはいつものことだし。

「なにやんや言ってんだよ」

「うげ、にゃーやま」

 少し吐き出してスッキリした頃に現れたにゃーやまは、ボクを見るなり呆れた表情を見せてきて。いつもみたいにからかっていれば、先生にふたりして怒られた。

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