2019.10.27

「なあ、最近ようBsプロ行っとるみたいやけど、何してるん?」

「知りたい?」

「えー!なんなんもったいぶって〜」

「ふふ」

 ハロウィンの舞台はTiersetzティアゼが動くにはもってこいの機会だった。

 いつからか収穫祭なんて伝統を忘れ、世間は恐怖を求める。ハロウィンホラーナイト。ふたりで描く悲劇舞台は、ものものしい雰囲気を放って大衆に届けられる。暗がりの中、僕の相棒は黄金の目を瞬かせた。

「僕たちふたりの舞台は、そろそろ見納めになるよ」

「なん、どういうこと?」

「そういうプランなんだ」

「ほーん?」

 新人でもいれるんか、と首を傾げる彼には笑いそうになる。ナイフの王様は、僕の願った動きをしてくれている。王を失った彼らは近々崩壊するだろう。

 明里あかり鷺山芧さぎやまみくりはダメだったけど、白鶯士葵はくおうしきはきみのもとに連れて行けるよ。小さな病院から大きな病院へも移動できる。明里の病気も、きっと治せるようになる。白鶯士葵にはそれだけの力がある。そうすれば、明里と舞台に立てるようにもなるよね。喜んでくれるかな、きっと喜んでくれるよね。明里。

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