第3話真の侍

「うぅ……相変わらず薄気味の悪い場所でござるよ」

 見えないなにかを探るように、恐る恐る辺りを見回し、アザミが言う。

「あぁ。早い所シオンを見つけて、こんな所おさらばしよう」

 アルドも同じ気持ちだ。

 荒れ寺は、その名の通り荒れ果てている。山門は雑草に侵食され、境内に続く道は獣道の如く。空は昼も夜も低くたち込める黒い曇天に覆われ、湿った空気は仄かな死臭と共に粘ついた妖気をはらんでいた。

 出来れば、あまり長居はしたくない。

 そう思って歩いていると、門の外れた入口から、ゆらりと音もなく現れる影があった。

「ひぇ!? ででで、出たぁ!?」

 悲鳴をあげると、アザミは素早く抜刀し、謎の影へと斬りかかった。

「アザミ!? 無暗に斬りかかったら!?」

 薄闇の中で、二つの刃がきらりと光り、火花を散らす。

 次の瞬間、アザミの刀は宙を舞い、くるくる回って地面に刺さった。

 影に気圧されて、アザミはペタリと尻もちをつく。

「アザミ!?」

 慌てて、アルドはアザミを庇って前に出た。

 そこまで来て、ようやく影の正体に気づく。

「あ!? あんたは!」

「……アルドか。久しいな」

「シオン! 会いたかったよ!」

「私もだ。が、偶然と言うわけでもあるまい」

 鋼のようにまっすぐなシオンの目が、アザミへと向く。

「す、すまぬでござる。てっきり妖魔の類かと早合点し、斬りかかってしまったでござる!」

「まったくだぞ、アザミ。相手がシオンだからよかったものの、普通の人だったら一大事だ!」

「そう言うな、アルド。この娘も、飛燕天昇流の使い手。それも、相当の腕と見受ける。私のような武人が相手でなければ、途中で手を止めるくらいの事はしただろう」

「そうなのか?」

「も、もちろんでござるよ! ははは、流石は普賢一刀流、免許皆伝のシオン殿! わかっておられる!」

 わざとらしく言うと、アザミは首を傾げた。

「はて。拙者、以前にシオン殿とお会いした事があったでござるか?」

 シオンは首を振った。

「いや。初見だろう。だが、その太刀筋は知っている。それだけの話だ」

 懐かしむように言うと、シオンはアルドに向き直った。

「それでアルド。その様子だと、私を探して来たのだろう。何の用だ」

「あぁ、実は……」

「わーわーわー!」

 と、突然アザミが割って入る。

「実は拙者! シオン殿の大ふぁんでござって! アルド殿がシオン殿と交友があると聞いて、一度だけでも手合わせがしたいと頼み込み、こうして連れて来て貰ったのでござるよ!」

「アザミ? なに言ってるんだ? 俺達の用事は――」

「アルド殿!」

 いいかけるアルドに、アザミは詰め寄った。

「先ほど、直に手合わせして分かった。シオン殿の腕は本物でござる! いくらアルド殿が強いと言っても、易々と勝てる相手ではござらん! 侍の仕合となればこれ、名誉をかけた本気の一騎打ちでござる! 拙者のわがままの為に、アルド殿にそんな危険な真似はさせられないでござるよ!」

「アザミ……そんなの、今更の話だろ」

 心のそこから心配するアザミを見返して、アルドは首を振った。

「ユニガンの宿を出た時から、俺の覚悟は出来てるよ。シオンが強いのは分かってるけど、ここまで来て投げ出したりなんかしないさ」

「でも……」

 不安げに見つめるアザミを見ていると、どこにでもいる普通の女の子と変わらないように思える。実際、そうなのだ。彼女はただ、飛燕天昇流を背負っているだけの、どこにでもいるような普通の女の子なのである。だからこそ、アルドは助けてやりたいと思う。

「確かに、シオンは強いよ。きっと、俺なんかじゃ、まともにやっても勝てないかもしれない。けど、こっちにも引けない事情があるんだ。シオンには悪いけど、いざとなったら、こいつを使わせて貰う」

 アルドが腰の大剣を撫でた。

 時を止める魔剣、オーガベイン。

 さしもの剣豪も、止まった時の中では何も出来まい。

「卑怯だとは思うけど、他に手はないし。全部終ったら、シオンには正直に謝るよ。許して貰えるかは分からないけど……」

「その時は、拙者も一緒に頭を下げるでござるよ!」

「あぁ。そうしてくれると助かる」

 アルドが頷くと、待ち構えていたかのようにシオンは言った。

「……内緒話は終ったか」

「あぁ。実は今日は、シオンと手合わせがしたくて来たんだ――」

 そう言って、アルドは事の顛末を話した。

「……それで、そこの娘の父親を安心させる為に、俺に勝たねばならぬと。アルドよ。お前という奴は、飽きれる程に酔狂な奴だな」

「よく言われるよ。それで、シオンはどうだ。俺と闘ってくれるか?」

「無論だ。私とて、侍の端くれ。挑まれた果し合いを断る程恥知らずではない……が」

 シオンの目が、どこまでも真っすぐにアルドに問いかける。

「私の剣は、柔ではないぞ」

「知ってるよ。それでも俺は、勝たなくちゃならないんだ」

「……愚問だったな。生まれた国は違えど。アルド、お前は立派な侍だ」

「シオンだって」

「よせ。俺は、立派などでは……」

 言いかけて、シオンは頭を振る。

「喋り過ぎた。二人の侍が剣を握って相対した。これから先は――」

 シオンが抜刀する。

 その手に構えるは、紫色の刀身が熱波に揺らめく、昇龍安綱だ。

「刃をもって語って見せろ!」

 対するアルドは、ガルレアの刀匠が鍛えた稀剣、桜迅で応える。

 シオンとアルド、二人の武人が炎を散らして戦う姿は、まさしく、龍と竜の戦いであった。

 シオンがツバメ返しを放てば、アルドはハヤブサ斬りで返し。

 アルドがボルケーノブレイドを放てば、シオンは紅天狗で返す。

 二匹の火竜の戦いに、アザミは手に汗握り、かと思えば、握った汗は瞬く間に乾いていく。

 拮抗した戦いは無限に続くかに思えたが、終わりの時は呆気なかった。

 普賢一刀流・閃。文字通り、閃光の如く疾き一撃を、アルドは神龍の加護を受けた身であえて受け、必殺の一撃をくり出した。

「神龍よ! 俺に力を貸してくれ! 神竜斬!」

 文字通り、神龍の振るう豪爪の如き一撃がシオンを襲う。避けられぬと見て、シオンは刃で受けるが、斬撃を防いでも、純粋な破壊の力はどうにも出来ず、小石のように吹き飛ばされる。それでも地に足は着け、最後まで体勢を崩さなかった事は流石と言えた。

「ぐっ……見事だ、アルド」

 刀を杖に片膝を着くと、荒い息を噛み殺すようにしてシオンは言った。

「少し見ない間に、随分と腕を上げたな……」

 仮面のような仏頂面を張り付けたシオンの口元が、喜びで歪んだ。

「武士として、潔く負けを認めよう」

 アルドは頭を振った。

「シオン……どうして……」

「よせ、アルド。それ以上は、悪戯に敗者の名誉を傷つける事になるぞ」

「けど……」

 納得できずにいると、アザミが飛び付いてきた。

「アルド殿ぉおおお!? 凄いでござるよ! まさかあの、ガルレア最強と呼ばれた普賢一刀流の免許皆伝であるシオン殿に勝ってしまうなんて! 拙者、感激でござる!」

「違うんだ……アザミ……今のは……」

「アルド」

 けして大きな声ではない。けれども、その時放ったシオンの声は、大鐘を突いたようにアルドの心を揺らした。

「私は、なんの為にお前と戦った。その意味を、無駄にしてくれるな」

 それでも、アルドは納得できない。納得は出来ないが、飲み込む事は出来た。

 そうしなければ、それこそ、シオンに恥をかかせる事になる。

「ありがとう、シオン。やっぱりお前は、立派な侍だよ」

 シオンはただ、寂し気に首を振るだけだ。

「買い被りだ。私の剣は汚れている。そんな剣でも人の役に立つ機会をお前は与えてくれた。礼を言うのはこちらの方だ」

「……そんな言い方するなよシオン。お前は……」

「その気持ちだけで、私は十分だ」

 突き返すように言うと、シオンは遠くイザナの方角に視線をやった。

「船の時間がある。俺はこれで失礼する」

 そう言うと、シオンは腰の脇差を抜いてアルドに託した。

「俺の脇差を預けておく。これを見せれば、その娘の親父殿も分かってくれるだろう」

 それだけ言うと、シオンは歩き出した。

 すれ違いざまに、ぼそりと告げる。

「いい娘じゃないか。振りなどと言わず、大事にしてやれ」

「な!? シオン!?」

「さらばだ。縁があったら、また会おう」

 背中越しに言うと、荒れ寺の薄闇に消えていく。

「シオンの奴、他人事だと思って……」

 そう言われても仕方がないとは言え、アルドとしては、難しい問題なのである。

「く、ぐすっ」

 と、いつの間にか、隣のアザミが涙を堪えていた。

「え!? なんでまた泣いてるんだ!?」

「シオン殿の心意気に胸を打たれたのでござる。見ず知らずの拙者の為に、わざと負けるとは。いや、決してアルド殿が弱いと言っているのでござらん! ただ、あのまま戦えば、どちらかが大怪我をするまで終わる事はなかったでござる。それを見越して、シオン殿は勝ちを譲ってくれたのでござる。己の名誉を捨て、友であるアルド殿を助けた。あれこそ、真の侍の姿ではござらんか!」

 アザミの言葉に、アルドも頷く。

「あぁ。俺もそう思うよ。シオン程立派な侍は、他にはいないさ」

 言ってから、ふと思う。

「けど、アザミ。よくその事に気づいたな」

「見くびって貰っては困るでござる! 拙者だって侍の端くれ。本気かどうかくらい、戦いを見ていればわかるでござるよ! ただ、あれ程の覚悟を見せられてしまっては、余計な事を言うのは野暮というもの。シオン殿の優しさを汲んで、合わせたのでござる」

「なるほどな。それなのに俺は、シオンが手加減した事に拘って。悪い事をしたな」

 その言葉に、アザミはぶんぶんと首を振る。

「いやいや! シオン殿の名誉を想い、公平であろうとするアルド殿の姿もまた、立派でござった! だからこそ、シオン殿程の御仁が勝ちを譲ったのでござるよ!」

「そんな風に持ち上げられると照れくさいけど。とにかく、目的は達成できたんだ。色々あったけど、これでようやく、アザミのお父さんを安心させてあげられるよ」

「そうでござるな! シオン殿に勝ったと聞いたら、父上はどんな顔をするやら。驚いて、病気など吹き飛んでしまうかもしれぬでござる!」

「そうなるといいな」

 頷くと、アルドは言うのだった。

「よし。アザミの家に戻ろう!」


 †


 こうして、シオンに勝ち、勝利の証として、彼の愛用する短刀を借り受けた二人は、大急ぎでイザナにあるアザミの家へと引き返した。

「父上! お待たせしたでござる!」

 またしても、転がるようにしてアザミは父のいる寝室へと飛び込んだ。

「おぉ、アザミ……待ちかねたぞ……ゴホン、ゴホン……。わしはいよいよだめかもしれん。目は霞み、耳も遠くなった。愛しい娘の顔もよく見えぬ。すまぬが、もっと近くに寄ってはくれぬか」

「勿論でございまする!」

 二つ返事をすると、アザミは父の枕元に座り込み、肉付きの良い大きな手を握った。

「父上! 気を確かに! アザミはここにいるでござるよ!」

「あぁ、見える。お前の顔を見ていると、なんだか元気が湧いてくるようだ。叶う事なら、武者修行など終わりにして、このままずっと家にいて欲しいが、そういうわけにもいくまいな……」

「なにをおっしゃる! 父上が望むなら、アザミはいつまでだって家にいて、看病をするでござるよ!」

「おぉ、アザミ。そう言ってくれるか……それならば、わしも安心だ……」

「それだけではござらん! 聞いて下され父上! アルド殿は約束通り、シオン殿と戦って、勝利を納めて来たのでござるよ!」

 アザミが言うと、それまで黙っていたアルドが前に出た。

「ご無沙汰しています。お父さん」

「ゲェ!? お主、まだ生きておったのか!?」

「生きてたのかって……そんな……」

 よくわからないが、随分と嫌われてしまったらしい。

「ともかく、お父さん。約束は守りました。これは証拠の、シオンが使っていた脇差です」

「これは……確かに、シオン殿の愛用する龍髭丸……」

「どうでござるか父上! これで、アルド殿が飛燕天昇流を託すに相応しい御仁だという事がわかって頂けたはずでござる!」

「う、ぐ、ぐぐ……」

 白鞘の脇差を握りしめ、アザミの父は肩を震わせた。

「おぉ! 見て下されアルド殿! 父上は、感激のあまり肩を震わせているでござるよ!」

「その逆だ! この、大馬鹿者が!」

 アザミの父が床から飛び出す。

「ひぇ!?」

「な、なんだ!?」

 雷鳴のような怒号に、二人はたじろいだ。

「病人と思って侮ったか!? これでもわしは、飛燕天昇流の当主であるぞ! シオン殿の実力はよく知っている! そこの小僧がどれ程強くとも、真剣勝負をしたならば、こんな風に無傷で帰ってくる事はあり得ん! おおかた、なにか卑怯な手を使って勝ったのだろう!」

「う、父上……ですが、アルド殿は、卑怯な手など……」

「見損なったぞアザミ! この期に及んで父に嘘を申すか! お前の言葉が嘘か真か、父であるわしに見抜けぬわけがなかろうが!」

「は、ははぁ! 申し訳ございませぬ!」

「待ってくれ! アザミは悪くない! 悪いのは、俺なんだ!」

 見かねて、アルドは割って入った。

「隠していたわけじゃないけど、実は、俺とシオンは一緒に旅をしていた事があって。知っての通り、シオンは義理堅い男だから、事情を知って、勝たせてくれたんです」

「ほれ見た事か! シオン殿の義理堅さに付け入り、侍の誇りを傷つけるとは、なんと卑劣な男よ! お前のような輩に、娘はやれぬわ!」

 病はどこへ行ったのか、こめかみに血管を浮き上がらせて、アザミの父が怒る。

「それは違います父上! シオン殿の義理堅さに付け入るなどと、そのような事、アルド殿は少しだって致しませんでした! アルド殿は逆に!」

「アザミ、いいんだ。真剣勝負をしないで、お父さんを騙すような事をしたのは本当なんだから」

 その事を認めると、アルドは深々と頭を下げた。

「ごめんなさい、お父さん。今回の事は、俺が間違っていました。それでも俺は、アザミの婿に相応しい男だと認めて貰い、お父さんを安心させてあげたいんです。だから、どうかもう一度、俺にチャンスを貰えないでしょうか!」

「アルド殿……」

 無理な頼みをしているのはこちらの方なのに、それでもまだ、嫌な顔一つせずに付き合ってくれる。もはやアザミは、好きと通り越して、畏敬の念すら抱き始めた。

「拙者からも、お頼み申す! アルド殿は、父上が思うような御仁ではござらぬ! どうか、汚名返上の機会をば!」

「ぐ、ぬぬ。可愛い娘にそうまで言われては、無下には出来ぬ……。ならば小僧! 娘の顔に免じて、特別に最後のチャンスをやろう! 相手は同じく、普賢一刀流の免許皆伝者! シオンが龍なら、この者は虎よ!」

「まさか父上! 普賢一刀流宗家が嫡男の、シグレ殿を倒して参れと仰るつもりか!?」

 愕然として、アザミが叫ぶ。

「シオン殿に匹敵する使い手となれば、他に相手はおるまい。巷ではうつけどと呼ばれているが、シグレ殿はあれでなかなか、筋の通った若者よ。仮にも、普賢一刀流を背負う身。まかり間違ってもシオン殿のように手心を加えたりはすまい。半端な気持ちで仕合えば、命を落とす事もありえるだろうな」

 脅すように、アザミの父は言う。

「最初から、覚悟は出来ています!」

 アルドの言葉には、嘘も偽りもない。

 ひと時、アルドとアザミの父親は、じっと睨み合った。

 静寂の中で、アザミの喉がくっと鳴る。

「ふん。どこの馬の骨かと思っておったが、侍でもないくせに、覚悟だけは立派なようだ。しかし、気持ちだけで勝てる程、シグレ殿は甘くはないぞ」

「分かっています。それでも、俺は勝ちます。アザミと、お父さんの為に。だから、お父さんも、病気になんか負けないで下さい!」

「う、うむ。お主に言われずとも、そのつもりだ!」

 仮病で騙しているのはこちらの方なのだが、今更引っ込みのつかないアザミの父なのであった。

「しかし、父上。今回もシグレ殿の居場所はわからぬのでござるか?」

「横着は許さん。と、言いたい所だが。よかろう。小僧の覚悟に免じて、一つだけ、助言をしてやろう。シグレ殿の遊び癖は、祖父である先代当主に似た物だ。先代当主は流石に落ち着いて、イナナリ高原の道場で門下生の稽古に励んでおられる。あそこに行けば、何か得られるものがあるだろう」

「父上……」

 頑固者の父がようやく見せた優しさに、アザミの目にも涙が滲む。

「ありがとうございます! それだけ分かれば十分だ! 行こう、アザミ!」

「はい! でござる! 父上! 今度こそ、勝利の知らせを届けるでござるよ!」

 二人が去ると、寝室は火が消えたように静かになった。

「アルド、か……」

 怒りを納めると、アザミの父は、誰ともなく呟いた。

 落ち着いてみれば、まっすぐな目をした若者ではあった。

 胸をざわめかせるこの思いは、娘を取られた嫉妬だけではないのかもしれない。

「ええい! わしは、何を考えておる!」

 そんな思いを、頭を振って打ち消す。

 あれは敵だ。可愛い娘を奪おうとする輩は、何人たりとも許す事は出来ん!

 自分に言い聞かせるように、アザミの父は思うのだった。

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