Episode 2 天狗

 昨日、少年から依頼を受けた。依頼内容は、少年の飼っていた猫を殺した神様を殺すこと。少年からの情報では猫には大きなフォークで刺された後があったことである。それだけ聞けばギリシャ神話の海の神様くらいだが、そんなことはない。外国の神様は基本的に自国以外は干渉しない。

 つまり、日本の神様である犯人が高いのだが、ここで問題が発生する。日本の神様は基本的に術によって攻撃をする。悟のように武器を創造できる神様もいるが、わざわざ天界を追放される行いするわけがないのだ。

 …詰まるところ、分からないのだ。

 頭を抱えて悩む悟の横で、依頼料である高級キャットフードを食べる猫乃が、


「ところで、あの少年にここを教えた人ってわかったのかにゃ?」

「あ、あぁ、そいつがいたか」


 猫乃が、口にした教えた人。あいつに訊いてみる方が一番早いと考えた悟は、


「猫乃、それ食べ終わったら外に行くぞ」

「にゃん!」


 そう言って、ガブガブと早食いした猫乃は適当に外行きの服を着て、ヘルメットを被る。悟は、ジーパンに黒い皮のジャッケットを着て、顔を覆う黒いヘルメットを付ける。

 悟は愛車のMonster1200に跨り、後ろに猫乃が座り、悟に掴まる。黒いボディが光る愛車をふかせながら目的場所へ向かう。

 風が体に当たってくる。心地良い。猫乃は悟に掴まりながらも、風が気持ちよいのかご機嫌である。

 愛車はずんずんと進んでいき、山奥の細い道も進んでいく。

 すると、しめ縄がされた大きな石がある場所についた。

 悟は愛車を止め、そして、


「おい、イケメンゲスクソ天狗!出てこい」


 すると木がガサガサっと音がして、赤い顔で長い鼻ではなく、美形なイケメンの成人男性が、和服を纏って現れた。


「もう、酷いな悟君。なんだい褒めるか貶すかのどっちかにしなさい」

「なんだにゃこいつ」

「あ、あぁ、こいつは天狗だ。名前は、…ゲス野郎でいいよ」

「そ、そんな酷いよ悟君!!あ、えっと猫乃君で良かったのかな。僕は天狗舞 天(てんぐまい てん)、気軽に天くんと言ってくれ」

「天くんかにゃ?よろしくにゃ!」


 満面の笑みで猫乃が言う。それを見た天が悟に、


「ねぇ、猫乃ちゃん僕がもらっていい」


 それを聞いた悟は、天の首元に創造した小刀を首に当てていた。天は、


「冗談です。冗談」

「次は頭が飛ぶからな」

「…肝に銘じておくよ」


 はぁ、と悟は息を吐き、そして、


「本題に入る。お前が飼い猫を殺された少年に僕の依頼処を紹介したな」

「少年、あぁ、確かに紹介したよ」

「そして、犯人は神様であるとまで言った」

「言ったね」

「本当に神様か?」

「…どういうことかい」

「もし、それが僕と同じ――だったら」

「ほう、君に依頼してみることを進めて良かったよ」

「当たりなんだな」

「まぁ、近からずも遠からずと言ったところかな」

「と、なると、神様は関与しているのはしているのか?」

「それ以上は言えない。閻魔様に殺されてしまうよ」

「そうか、じゃぁ聞くことはもうない」

「そうかい?僕は猫乃くんに訊きたいことだらけだよ。あ、好きなご飯はなんですか?」

「チャウチュール!!」

「お、おう、なかなかいい趣味してるね」

「だったら今度お前も食ってみるか?」

「い、いや、遠慮しておくよ」


 天はいそいそと空へ向かって飛んで行った。

 悟と猫乃はともに愛車に跨り、スタンバイをした。そして、一度帰宅することにしたのだった。

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