Chapter 2 神と妖怪
Episode 1 少年
猫乃の父親、猫又から亡くなり、悟は猫乃を守る事を強く決意して一年が経過した。
あれから悟は妖怪のための依頼処をつくった。それから、まぁまぁな数の妖怪の依頼を聞いて来た。そして、それらを猫乃とともに解決してきた。
猫乃はそれなりに喋れるようになったが、語尾に「にゃ」が付くくらいで、前より話せるようになった。それに、初めての事ばかりで色々手間取ったが、なんとか住民登録も完了している。
あのあと高校は特殊事件として極秘情報となった。あれを知っている悟には国から多額の金額を提示され、口止め料として受け取った。そして、高校には行かず、依頼処を運営することにした。
猫乃はあれから高校へ行きたいとは言わなくなったのだが、高卒認定が受けたいと言い出したので、高卒認定のための参考書を買ってやらせてみると、サクサク問題を解いていた。
依頼処は依頼料としてそれに見合う物、またはお金で運営していた。
今日も今日とて依頼処を運営していると、少年がやってきた。
「ねぇ、ここって何の依頼も受けてくれてそれらを解決してくれるんでしょ?」
「いや、何でもと言うか、てか、坊やは何でここに依頼処があることを知ってたのかな?」
「え、長身のイケメンのお兄さんが教えてくれた」
「一つ訊いてもいいかな?」
「うん」
「そのイケメンって必要なことだけ言ったらいなくならなかった?」
「あ、いなくなったよ」
「よし、分かった。ありがとう」
子どもに悟が営む依頼処を教えた奴の目星はついた。猫乃を保護した時に現れた奴。今度あったら焼き鳥確定。
悟は、少年に、
「残念だが、人の依頼は受けないことにしてるんだ」
すると、少年は涙目になって言う。
「猫が、家で帰った猫が死んじゃったんだ」
「泣いて言う程か?寿命とかなら天命、仕方ないことだぞ」
「そうじゃない、猫は刺されて死んでたんだ」
「刺されていた?」
「うん、でっかいフォークで刺したような跡」
「……それ、本当か?」
「うん!」
と少年は涙目ながらも返事をした。
でっかいフォーク……、ポセイドンと同じような類なのか。神様がもし、このことに関与にしていたなら……。
「ちなみに少年が僕に依頼したことはなんだ?」
「それはね、…神を殺してほしんだ」
「!」
「長身のイケメンのお兄さんが、僕の猫を殺したのは神様だって教えてくれたんだ。でも僕じゃ勝てないから、ここに依頼しなさいって」
「あ、あぁそういうことか、分かった、依頼を受けよう」
「やったー!」
「ちなみに依頼料なんだが、」
「はい」
少年が取り出したのは『50%off高級キャットフード』と書かれていた。
それを見つけた猫乃が、
「依頼を受けようにゃ、悟~」
と甘い声で悟にすり寄った。悟は、
「あ~はいはい」
と適当な返事をした。悟は少年に、
「この依頼料として出したネコ缶ももしかして、」
「うん、長身のイケメンのお兄さんがこれをあげたら依頼を受けてくれるって教えてくれたよ」
はぁ、あのクソイケメンがと思いつつ、少年に、
「分かった依頼を受けよう、依頼料もネコ缶ということで良い」
「やったー!それじゃぁよろしくね」
「あぁ、任せろ」
そう言って少年は依頼処を後にするのだった。
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