Episode 8 相談処
ジャッジメントをサイコロステーキにした悟は、暴走化しかけている猫乃をなだめつつ教室に向かった。
教室内は予想通りというかジャッジメントの口周りからしてだいたい分かっていた。その予想通りの教室内はクラスの人間たちの血で真っ赤に染まっていた。
髪の毛はむしり取られ所々剥げている奴や、頭がない奴に下半身が無い奴もいた。ただ、驚いたことが目立たない影ように生きるのが好きな人たちは殺されず気絶となっていた。
悟は、死体を集め弔うことにした。いくら何でも出来る悟でも死者蘇生は不可能である。死を生にするのは禁忌である。生が死になるのは当り前。
11人目を運ぼうとした時、背中に痛みが走った。
後ろを向くとまだ人の原型を留めているものの肌は真っ白、目は真っ赤に充血して口の中は真っ黒でスキンヘッドの奴がいた。そいつは口を開き言う。
「よくも、ジャッジメント様を!!!!」
悟は吐血した。直ぐに自己修復をするも、悟を刺した奴の刃物は何かしら特注品らしく傷の治りが遅く、すぐには回復できなかった。
悟を刺した奴は、刃物を抜き、猫乃の方を向き、刺しに向かっていた。変なことに猫乃は気が付いていなかった。
悟は、猫乃を助けようと動くも刃物に刺されたところが悪かったのか足が言う事を聞いてくれなかった。
「あぁもう駄目だ、ごめん猫親父」と思った瞬間、猫乃は誰かに押されたのか吹っ飛んでいった。刃物に刺されたのは猫乃の父親、猫又だった。
悟の頭に血が上った。いつもより何倍もの血が巡り、妖力が体全体に行きわたっているのが分かった。
悟は、猫又を刺した奴に手を向け、「砂時計」と言い指パッチンをした。すると、刺した奴は動けなくなったのか藻掻こうとしていた。
悟は、刺した奴の近くに行き、
「どうして、こんなことをした」
「貴様が、ジャッジメント様を!」
「殺人鬼を殺して何が悪い」
「悪いさ、ジャッジメント様は殺すのは陽キャだけだ、うるさく、人を馬鹿にすることしか脳のないやつらを殺して何が悪い。逆に正義だ」
「あぁそうか、だったらお前はジャッジメントは人を殺したぞ。悪ではないのか?」
「現代の制裁だ。陽キャなど滅んでしまえばいいのだ!!!」
「はぁ、お前が関わろうとせず、偏見に悪と決めつけたんだろ」
「な、なにを」
「人ってのは大きくなれば悪に憧れ、一匹狼に憧れる。どうせお前は、一人の俺カッコいいとか思ってたんだろ。一つ言っておく。人ってのは話さない奴を悪く言う傾向にあるってのを覚えておくこの殺人鬼が!!!」
悟はそう言って、刀を2刀生み出した。そして、刺してきた奴に刺していく。「ぐぅぁぁ」と苦しみの声を上げるが気にすることはない。もう一度、2刀の刀を生み出し刺す。それを繰り返し、100刀刺したあたりで、「もう許してください、もう許してください」と言ってきた。それに悟は笑顔で答えた。
「安心しろ、ここは砂時計の世界。時間は止まり、永遠とこの時間帯に生きられる」
「つ、つまり!!!」
「永遠の苦しみってのを味わえ、糞野郎」
「いやだぁぁ」と叫ぶのを無視して、悟は指パッチンをして時間を動かした。宣言通り、刺してきた奴は永遠に苦しみを合わせる為に置いてきた。
悟はすぐさま猫又の近くによる。
「おい、大丈夫か猫又の親父」
「まだ、お父さんと呼ばれるのは」
「読んでないから、そんなボケはいいから、黙って治療を受けろ」
悟は妖力を送ろうとするも、猫又はそれを拒否した。そして、悟を見て、
「私はもう助からない。さっき刺された刃物には除霊の念が込めてあった」
「だから治りが遅く……」
「私は深く刺さり過ぎた。せめて、叶う事なら」
そう言って吹き飛ばされ転がっていた猫乃を見て、
「あの子が成長するのをもう少し近くで見ていたかった」
「すいません。僕に力が無かったから……」
「……悟様、誰しも過ちは犯すものなんです。だから、この失敗を生かして、必ず猫乃を守ってください」
猫又の目には青い炎が宿っていた。差し出された手を悟は握り、
「任せてください。絶対守り抜いていきますから」
それを聞いて安心したのか猫又は光となり、段々と消えていった。
猫乃はその光景を黙って見ていた。
悟は、猫乃に声を掛ける。
「家に帰るか」
猫乃は頷き、お得意の素早さで遺体を綺麗に並べていた。気絶していた生徒たちも安全なところにおいていた。
あとは業者の人に任そう。俺たちが出来ることは何もない。
・・・
悟の自宅。玄関に大きな看板が出来た。それは「妖怪相談処」。
ジャッジメントの一見で学校に行けなくなってしまったので商売を始めることにしたのだ。猫乃は、今は学校に行くよりも相談処で働くのが楽しいらしくいつもしっぽを振っていた。
ここは、妖怪の相談処。悩みを抱えてやってくる妖怪が今日もやってくる。
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