湖の逆襲

「こりゃすげぇな……」

 小林景文は何度目かわからない感嘆の声を上げた。

 最初はプレジャーボートだった。地元の木島湖に浮かんでいるプレジャーボートのスクリューにびっしりと海苔が絡みついていた。

 機械工である景文はそれから次々と「木島湖で海苔に絡みついて動かなくなった機械類」に遭遇した。

 そして今日、地元で一番大きな工場の取水口からびっしりと海苔が絡みついているところに呼ばれた。工場の方でも対処しているそうだが、手に負えなくなっているという。

 木島湖は淡水湖である。海苔など繁殖するような環境ではない。

 だが、今では橋にも岸壁にも海苔がびっしりと張り付き、腐って悪臭を発している。

 原因はこの工場かな、と景文は思った。工場の排水、生活排水、ポイ捨てエトセトラを受けてきた湖がついに反逆に出たのだ、と。


《お題:反逆の湖 必須要素:海苔 制限時間:15分》

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