投資のリスク
「投資にはリスクがつきものでしてね、ウェンディさん」
オルコットが言った。嫌な男。
「存じておりますわ、オルコットさん。わたくし、今回のプロジェクトのためにいろいろ投資を行いましたのよ」
「そうですね、ここから見下ろす限り、受付ロビーにはかなりの美術品がございますね。それを担保としていただきましょう」
「オルコットさん、失礼ながら、オルコットさんに投資していただきたい額では、ロビーにあるもの全部では釣り合いが取れない気がするのですが」
「そこは私がリスクを負う分、と思っていただかなくては。ね、ウェンディさん」
結局、その事業は開始前に破綻して、ロビーにあったものはすべてオルコットのものになった。わたしが作ったまがい物の調度品。これでも劇団では大道具を俳優と兼任していた。
わたしはオルコットからせしめた金を持っての高飛び先で札束にキスをする。投資にはリスクがつきものだ。オルコットは今後は一層の実感を込めてそういうようになるだろう。
《お題:何かの投資 必須要素:大道具さん 制限時間:15分》
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