殺人における純粋性に関する探究
「推理小説ファンにはいろいろとこだわりが多い者も多くてね」
「本格派とか社会派とか?」
「私もその一人でね」
目の前の男はそう語った。
「私はね、推理小説には事件の純粋性を求めるんだ」
「事件の純粋性?」
「犯人の意図しない偶然の要素によって不可能犯罪と化すとか、そういうのは純粋性が低い。その、事故のようなものだ」
「つまり、事件の隅から隅まで犯人の意図によるものでなければダメ、だと」
「犯人以外でも、別の容疑者がそれぞれの思惑で行動して、それで事件が複雑化するのは許容できるが、たまたま人がいたために密室になったとか、そういうのは好きになれなくてね」
「厳しくありません?」
「たしかに。そう思うよ」
男はわたしに向けた拳銃の撃鉄を引き起こした。
「この稼業をしていて、そう言った偶然に助けられたことが恥ずかしながら何度かあるものでね」
《お題:純粋な事件 制限時間:15分》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます