第13話 紙飛行機つくろ~
朝からきらきらエフェクトに目をやられながら、朝食をとった。
それ以外は終始穏やかだったので、さして問題なく終えられた……と思う。
そう!
あの朝食はすごかった!
バター薫るサクサクのクロワッサンはもう絶品!
とろとろのオムレツは火加減絶妙で、ふわっととろけるけど卵の濃厚な味わいがして、何度も口に運ぶ度に感動する。
かりかりなベーコンの芳醇な味わい、噛むたびに旨味が広がる。
しゃきしゃきサラダに特製のシーザードレッシングがたまらない。
わざわざそれを目当てに宿泊してしまう、豪華なホテルの朝食のようだ。
あぁ。朝から幸せ~!
……と、ふと我に返り。
ぱちり、と伯爵様と目があってしまった。
さわやかな笑顔が返ってきます。
は、恥ずかしい……!
天使一家にがっついていた様をみられていたかと思うと、いたたまれない気分……。
ですが、にこやかに微笑み返してやり過ごす。
……こほん。
ま、そんな一幕もありましたが、無事に朝食を終えて伯爵様はお仕事のため離席されました。
お忙しいそうで、昼はひとりで軽くしか食事はされないそう。
次に会うのはまた晩餐の時になります。
「またとっておきの晩餐を準備させるので、期待していてください。」
食いしん坊認定されてしまったようです……。
はは。
淑女としては、何とも言いがたいですが……。
まぁ、事実ですし。仕方ないよね。
*****
さて。伯爵家へ来る前に、男爵家の商会で頼んでいたものが届いたそうだ。
いくつかあるが、今日はその一つで遊びますかね。
「大きい荷物ですね」
「何が届いたんですか?」
「お二人と遊べるような道具です。こちらに来ることがきまってから、お願いしたものなんですよ。気に入っていただけるものがあるといいのですが。」
「何かな?」
「楽しみ!」
「はい。では、まず今日は折り紙にしましょう!!」
「「折り紙?」」
この世界に折り紙……存在しません。
まぁ。予想通りですね。
そのため、15cm角の紙を作っていただきました。
折って形づくっていけるように、なるべく薄い紙で。
やはりそれがなかなかに難しい作業だったようだ。
せっかくなので1色だけではなく、何色かの色紙を作ってもらった。
完成したそれを見て、とてもびっくりした。
淡い色で色付けされ、薄く綺麗な仕上がりの折り紙に、異世界でも同じようなものが作れるものなんだなぁと感心するばかり。
それをこんな短期間で形にしてくれるとは。
さすが商魂逞しい成金男爵家の商会だと感心するばかりである。
これでたくさんの遊びができそう!
何を作ろうかなぁ。
「折り紙というのは、この紙のことです。」
「綺麗な色の紙ですね。」
「小さな四角い紙ですね。これで遊べるのですか?」
「はい。遊べるんですよ。折り紙という名前のとおり、紙を折る遊びです。まずは一つ作ってみましょう。」
紙飛行機にしましょう!
紙飛行機とは、紙で飛行機を模した形を作り、飛ばして遊ぶものである。
そう。「飛行機」。
この世界に飛行機……存在しません。パート2。
なんて呼べばいいかしら。
……紙鳥?
うーーーーん。ネーミングセンスないな!
でもほかになんと言えばいいのやら……。
紙の鳥を力の限り飛ばす……。シュールだわ。
でも、まぁ遊んで楽しめればなんでもいいよね!
「いろいろな折り方があるのですけど、まずはオーソドックスなものからにしましょう。説明しながら折っていくので、見ていてくださいね。そのあと、お二人にも作ってもらいましょうね。」
折り紙を広げ、折りながら説明をしていく。
「まず、折り紙を半分に折ります。そしたら、こうして……次は……と、最後に翼の部分を整えて、紙飛行機……いえ、紙鳥のできあがり!」
「おもしろい形ですね!」
「すごい!紙を折っていくだけで、こんな形のものを作ることができるんですね。」
「これをただ飛ばすだけでも楽しいですが、誰が一番遠くに飛ばせるか競うともっと楽しいんですよ。ではまず一度飛ばしてみましょうか。」
広々と広がる部屋なので、飛行場所は問題ない。
「いきますね!」
紙飛行機の持ち手を持って、軽く飛ばす。
そーれ。
「「わぁ!とんだ!!」」
思ったよりもゆっくりと宙を漂い、先の方まで長く飛んでくれた。
見本にしては、上出来だ。
子どもたちの掴みも上々。
「すごーい! 飛んでいった!」
「簡単そうだったのに、こんなことができるんですね!」
「どうですか? 楽しそうでしょ?
一緒に作って、飛ばしてみましょうか。」
「やりたい!」
「いっぱい遠くに飛ばしてみたい!」
「はい! やってみましょうね!」
みんなで競争だ!
ん?
何だかふたりの熱量が半端ない……?
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