第9話 今世の目標
事故にあいそうになり、前世を思い出した今。
幸せだったが、愛する人を失くし後に残される悲しみをずっと抱え過ごしていた。
さぁ余生だ! 自由だ!
と思った矢先の事故で終えた前世。
やや混乱が落ち着てきて、今世はどうしよう? 何をしていこうかと考えられるようになってきた。
考えても先なんてよくみえない。
ただのしがない男爵令嬢。しかもこの世界で成人とされる15歳になったばかり。
できることなんて、成せることなんてたかが知れているだろう。
魔法が使えるわけでもなく、表立った特技なんてほどのものも特にはない。
小説でよくある転生特典のチートな能力は、神様に授けていただけなかったようだ。
転生したからといって、前世のそこら辺に溢れかえっている一般ピーポーと変わらない。
悲しいことこの上ない。
なんで転生して、前世の記憶を引き継いでしまったのかは、未だにわからない。
意味を見出すことはできていない。
――――ただ、幸せになりたい。
人を幸せにできる人生を歩みたい。
そう思った。
自分の好きなことをしながら、人にも少しの幸せを分けながら過ごせたらいいな。
前世では仕事をしていることが好きで、生きがいだった。
子どもと関わることが大好きだ。
そう今のもっぱらの目標は、伯爵家の双子ちゃんを幸せにすること!
これだ!!
二人が楽しく過ごして、少しでも幸せになってくれるようにお世話していきたい。
そして、私も一緒に遊びたい!
さて何して遊ぼうか?
*****
「ティアーナさま、このお茶は私たちのお気に入りなんです。どうぞ召し上がってください!」
「ティアーナさまはどんなお菓子がお好きですか? たくさん準備したので、お好きなだけ食べてくださいね!」
双子ちゃんに勧められながら、お茶を飲んで一息をつく。
ふぅ。イケメン攻撃の衝撃が半端なかったせいで心労がピークを迎えていたため、一口の紅茶でも精神的に回復してきたように感じる。
「とてもおいしいお茶ですね。私のために素敵なお茶会をご準備くださってありがとうございます。私はクッキーが好きですね。ひとついただきますわ。」
1枚のクッキーを手に取り口に運ぶ。
シンプルなバタークッキー。しかし、上質なバターがたっぷりと使われれているため、芳醇な香りが口中にひろがって贅沢な気分になる。
ひと口だけでもとても満足できそうな逸品だ。
シンプルなお菓子だからこそ、その凄さがまざまざと感じられるものだ。
さすが伯爵家の料理人。
はぁ。こんなお菓子や料理が毎日食べられるとか、なんて贅沢なんだ!
チート能力はなかったけど、食いしん坊な私には何よりのご褒美だ。
神様ありがとう!!
「とてもおいしいです! こんなお菓子を食べられるなんて、とても幸せですわね!」
「そうでしょう! 僕たちもクッキー大好きなんだ。もっと食べてね!」
「気に入っていただけて、ほっとしましたわ。」
にこやかに返し、クッキーを食べ始める双子ちゃん。
うあぁぁー! 天使ー!!!! かわいいーーー!!!!!
なんでもするー!!!!!
天使ちゃんたちのためなら、何でもできそうな気がする!!
おねえさん・・・・・がんばりますねっ!!!!!
――――前世引き継ぐと、お祖母ちゃんくらいの年齢ですが。ははは。
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