第7話 叡智ここに在りて

曙光都市エルジオンは未来のミグレイナ大陸における中核都市であった。そのシータ街区に、アルドとリィカは若き天才科学者セバスちゃんを訪ねた。


セバスちゃん

「あら あなた達。

もしかしてまた何か

面白いことやってるの?」


アルド

「面白いかどうかはわからないけど

セバスちゃんの力を貸してほしいんだ。

実は……」


◆◆◆


アルド達の依頼を聞き終えたセバスちゃんは、腰に手を当て不敵に笑った。


セバスちゃん

「……ふーん

この映像の石そっくりの

レプリカを作ればいいのね?


見た目さえ似せればいいなら

映像から質感と寸法をスキャンして

プリンターで出力すれば楽勝よ!」


アルド

「よくわからないけど 

作れそうでよかったよ。」


セバスちゃん

「じゃあ ちゃちゃっと作っちゃうから

そこのモニターで好きな番組でも観てて。

えーとコンテンツ一覧は っと……」


セバスちゃんが部屋のモニターのスイッチを入れる。チャンネルを変える前に、ホーム画面からニュースが流れてきた。


『それでは3時のニュースです。

KMS社員が行方不明になっている件で

続報です。』


アルド

「KMS社員……?」


セバスちゃん

「ああ この人…… 

優秀な研究員らしいんだけど

巨大時震の日から行方不明なんですって。


ただ 相当変わった人だったみたいで 

いろんな噂が飛び交ってるのよ。」


アルド

「噂?」


セバスちゃん

「ええ。 しょっちゅう仕事をサボって

マクミナル博物館の

図書館に入り浸ってた とか


KMS社の資源を使って

こっそり高出力兵器を開発してた とか


巨大時震の余波で生じた時空の穴に

笑いながら突っ込んでいった とか

色々ね……。」


リィカ

「無茶苦茶デスネ……!」


セバスちゃん

「噂には尾ひれがつきものだから

ほとんど誇張でしょうけどね。

なんにせよ無事を祈るばかりだわ。


さて それじゃあ私は

制作に取りかかるとしますか!」


アルド

「ああ 頼むよ!」


◆◆◆


程なくセバスちゃんは宣言通り巨焔石のレプリカを携え戻ってきた。まさに儀式で見た通りの、棘のついた形状の赤い石。出来栄えは申し分ない。


セバスちゃん

「さあ できたわよ!」


アルド

「ありがとう セバスちゃん!

この借りはいつか必ず!」


リィカ

「さあ アクトゥールの宿屋の前で

レプリカを渡してきマショウ!」

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