09話.[私の相手もして]
「後輩君の馬鹿」
月曜日の放課後、俺は急に罵倒されていた。
満を取ってしまったことだろうかと考えたものの、正しいのかどうかは本人にしか分からないので捨てる。
「私の相手もしてよ」
「ちゃんとしているじゃないですか」
「でも、前と違って満を贔屓することになるよね?」
そりゃ、まず間違いなく満が不満を抱くだろうから。
下手をしたら受験勉強にも集中できなくなるかもしれないし。
それになにより、俺は満の彼氏ってことになるんだからな。
「彩先輩が来てくれる限りはちゃんと相手をしますよ」
「満より優先してくれる?」
「彩先輩といるときはですけどね」
荷物持ちぐらいには付き合う。
他にはカラオケとかでストレスを発散したいということなら聴き専に徹する。
俺にできるのはそれぐらいだ、ただそこにいてあげることはできるというだけ。
「でもさ、それって浮気じゃないの?」
「自分で言います? それなら優先なんてできませんよ」
「あっ、もう矛盾してるじゃん!」
どうすればいいんだよ……。
やっぱり対応に困るのは先輩の方だったな。
それでも、こうして相手をしてと言ってもらえるのは嬉しいからありがとうございますと言っておいた。
「お礼を言われても言いたいことは変わらないから」
「はい、それでもいいですから」
……満に怒られない程度に相手をさせてもらうことにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます