4-21
本番45分前です!
衣装に着替えて、15分前に会場にお願いします!
スタッフが控え室に来てそう言った。
「了解です!」
コンタクトも入れて、いつもの俺。
「よし!行くぞ!」
「了解!!!!」
みんなで声を合わせた。
ホテルの大広間に特設で作ったステージ。
プロの仕事で、ちゃんと出来ている。
すでにセットされているドラムとグランドピアノの椅子に大輝と瞬が、座った。
真ん中に龍聖のマイクスタンド。
俺はいつもの定位置、左側。悠弥は、右側。
3時きっかり。司会者の話が始まった。
これは、5分くらいある。
弊社主催、バンドコンテストの最優秀グランプリに選ばれ、明日CDデビューいたします、Realです!
幕が上がり始め、そのタイミングで大輝がカウントをとった。
すげーカメラの数!
めっちゃ、フラッシュ光ってる!
リハーサル通り、2曲終わり、俺のMC。
「はじめまして!Realです!
今日は、僕たちの為にお集まりいただきまして、ありがとうございます!
1曲目はveryfaraway、2曲目BRAVEを演奏しました。
続きまして、3曲目陽炎の如く、4曲目未来の希望的観測、5曲目このバンドの名前の由来でもあります結成時に作った曲、realtime:rock、3曲続けてお聴き下さい」
台本通りじゃなく、少しアドリブも入れた。
3曲が終わり、
「ありがとうございます。ここで、メンバー紹介ですが、自己紹介していきます!」
「RealリーダーのDaikiです。ドラム担当です!よろしくお願いします!」
「Real、ピアノとギター担当のshunです!よろしくお願いします!」
「Real、ボーカルのRyuseiです。よろしくお願いします!」
「Real、ベースのU-yaです!!よろしくお願いします!!」
「Real、ギターのKeigoです!よろしくお願いします!」
人生って、たぶんRPGみたいなものなんだろう。
どこへ行き、誰と出会い、何を話し、何をするのか、それによってその先の展開が変わってくる。
出会った人と仲間になって、共に行動するのか、別々に進むのか。
俺にとってバンドのメンバーは、出会うことが設定されていたキャラ。
そして、彼女はキーパーソン。
彼女に出会ったことが、俺の人生に大きな影響を与えている。
彼女も出会うことが設定されていたキャラの1人なのか。
そして、別々の人生を歩むことも定められていたのか……
一緒に進むことは、出来なかったのか……
悩み、傷つき、落ち込んで、でもまた立ち上がって、前に進んでる。
そんなこと、大袈裟な話じゃなくて、きっと誰にだってあることだ。
出会い、別れの繰り返し。
短い、一時の間でも、記憶に残る人。
いつまでも、余韻が続く人。
彼女はそんな人だった。
彼女がいたから、俺は成長することができた。
俺はまだ25歳。
これから、また新たなキャラと出会い、もっともっと人生を深く彩っていきたい。
男として、もっとデカくなるから、どこか遠くで見ていて欲しい。
そんな覚悟ができたよ!
さぁ!始めるか!
「最後の曲になりました。
次の曲は、バンドコンテストの受賞作品のYO.I.Nです。
この曲で、明日CDデビューさせていただくことになりました。
僕たちにとって、はじめてラブバラードに挑戦した曲でもあります。
いつまでも続く、愛しい人への想いを曲にしました。
その余韻を感じていただけたら嬉しいです。
それでは、お聴き下さい。 Realで、 YO.I.N」
完
REAL 彼方希弓 @kiyumikanata
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