1-21

 仕事が終わって、俺は先に1人で飲んでいた。ちょうど、生中飲み終わったところへ彼女が来た。

「お疲れ!」

「おつかれさん!先に飲んじゃった」

「あっ、いいよいいよ!私、昨日成人式の後の飲み会で、結構飲み過ぎちゃったから、今日は1杯だけにしとこ!」

そう言うと、生中を2つ頼んでくれた。

「あぁ、俺も昨日成人式の後、飲み会だったわ!」

と俺が言うと

「えっ??何!同い年だったの?」

「は?そうだよ!知らなかったのかよ?

俺をいくつだと思ってたんだ?アハハハハ!」

まじまじと俺を見つめて、

「そう言われると、老けてるような……でも、大人っぽくはないし……超年齢不詳!」

と言った。

「だから、同い年だよ!」

ちょうど運ばれてきた生中を乾杯してグビッと飲んだ。

「で?元彼、何しに来たの?」

「あぁ、偶然花を買いに来たみたいね!向こうもすごいビックリした顔してたよ。今さら話すこともお互いないし」


朝のあの、落ち込み様とはうって変わって、彼女はサバサバとしている。

お通しの酢の物を食べ、酸っぱいって笑った。

「ふーん。意外にあっさりしてんだな」

「あっさりってこともないけど、しょうがないよね男は。美人でスタイルいい女の方がいいじゃない?やっぱ」

俺が頼んであった焼き鳥を全部串から外しながら、いつもより早口で喋った。

「まぁ、そうだけどな」

「彼女、3階の靴屋の人だって?あのキレイな人!」

意外な話に、ビールを吹き出しそうになった。

3階の靴屋って、それって、ねーちゃんのことを言ってんのか?

「あっ?俺?気になるの?」

「別にいいんだけどさ」

「だろ?俺に何人女がいるかとか気にしてね~んじゃん?おまえ」

「そんなん気にしたってしょうがないじゃん!私、あんたの彼女じゃないし。ただ、こんな男の彼女は大変だろうなぁって同情してるだけだよ!」

「だな!アハハハハ!」


俺と、ねーちゃん、付き合ってるって噂になってんのか。

ねーちゃん目立つ行動すっからなぁ。

全否定しといた方がいいのかな。

って、信じないか……

それにしても、今日の彼女はよく喋る。

よく食べる。

さっきからずっと枝豆1人で食べ続けて、全部殻にした。

珍しくシメに、雑炊を食べるって言い出した。

俺にも食べろって、よそってくれて、一緒に食べた。

「そろそろ出るか。俺、金ね~けど」

「いいよ!いつものことじゃん!」

「ごちそうさま」

にこっと笑って言った。


店の外に出て、

「で、この後どうする?」

って聞くと

「帰る!」

彼女は、前を向いて駅の方向へ歩き始めていた。

おいおい!マジかよ!

10メートルくらい離されたところで

「久々に元彼と再会して~、彼女とイチャついてるとこ見て、傷ついてんじゃね~~の~~!

俺が優しく癒やしてやるんだけどな~~!」

大きな声で言った。

彼女は立ち止まり、振り返ると

「はぁ……マジでやな感じ……ホテル行こうか……」

小さな声で言った。

俺は、小走りに駆け寄って、

「最初からそう言えよ!」

そう言って、彼女の肩を抱いて歩いた。


 ホテルの部屋に入ってすぐに、彼女は俺のベルトに手を伸ばした。

彼女がこうゆうことをするのは、よっぽど気持ちが波立っている時だとわかっていた。

だから、ちょっと切ない気分になる。

俺がジーンズを脱ぐと、彼女はひざまづいて、俺のモノをくわえた。

そして、そのまま激しく抱きあった。

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