1-18
ラブホを出て、裏の狭い道を2人で歩いていた。
今日は、平日だけど、短大がお休みなんだって。俺も、バイトのシフトが13時からだったから、ランチでも食べてくか?なんて、のんびり歩いていた。
大通りへ出ようとしてたら、目の前でタクシーが止まって、お婆さんが降りた。
なんとなく見ていたら、上着のポケットから何か白い物を落とした。
あっ!って言ったと思ったら、彼女はすぐに駆け寄って、その白い物を拾うとお婆さんの元へ走って行った。
はやっ!なんか、見てて笑ってしまった。
わりと、おっとりした感じなのに、今すげー足 速かった!
俺は、普通に歩いて彼女を追った。
落とし物を渡すだけかと思ってたら、なんか話してて
「ご一緒してもいいですか?肩つかんで下さい」
って。
慌てて、彼女が手に持っていたバッグを持つよ!って感じで手を出した。
彼女は、にこっとして、俺に渡した。
お婆さんは、白い杖を持っていた。
目が不自由なようだ。
彼女とお婆さんが話ながら歩いている後ろをついて歩いた。
「ここよ。ご親切に。どうも、ありがとう。
彼氏さんもデート中にごめんなさいね」
とお婆さんは言った。
「えっ!なんで?俺、なんも喋ってね~けど!」
お婆さんは体を俺の方に向けると、うん、うん、と頷いて
「足音が聞こえてたから。歩幅がひろいから、男の人だなって、ジャラジャラとチェーンみたいな音も聞こえてるから、若い男の人かなって、お姉さんが何も話さずにバッグを渡すのは、信頼してる彼氏さんってなるでしょ」
「マジか!すげーな!ばあちゃん!探偵みたいな推理力だな!」
「あはははは。探偵なんて、素敵なこと初めて言われたわ!優しい彼女さんに、優しい彼氏さんね」
「あっ、彼氏ではないんですけど」
彼女は、遠慮がちに否定した。
「そうなの?でも、2人ともおんなじシャンプーの香りがしてるけど」
と笑った。
「あはははは!すげーよ!でも、マジ残念!!俺、彼氏にはなれないらしいから!あはははは!」
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