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 “記念日”って言葉を聞くと、高校の時の悠弥の彼女のせっちゃんを思い出す。

せっちゃん、なんて名前だっけ?セリカ?セリア?まぁ、それは忘れたけど、とにかく、せっちゃん。


悠弥に付き合ってほしいって告白したら、いいよってキスしてくれて、ファーストキスだったの!悠弥、その時イチゴ味のキャンディ舐めてて、甘いイチゴ味のキスだったの!しかも、その日、告白したその日が15日!!いちごの日だったの!だから、毎月15日はイチゴ記念日ね!!


って、謎の記念日を制定して、毎月15日は俺らにもイチゴ味のキャンディを配ったり、冬の時期は本物のイチゴを1パック買ってきて、俺らに1個ずつくれたりしてた。


可愛いだろ!可愛いだろ!って悠弥はのろけてたけど、超バカップルっぽかった。

卒業間近まで付き合ってたから、毎月の儀式、30回以上やってたのかな。

とにかく、せっちゃんの印象が強烈すぎて、記念日って言葉は、ちょっとクスッと笑ってしまう。


今、記念日って言葉が思い浮かんだのは、今日が11月11日だったから。

ポッキーの日でもあるけど、1年前、初めて彼女を抱いた日だ。

あの“海事件”の日。

あれから、1年が経った。

彼女との関係は、あの時より進展したけど、体は俺に預けてくれるけど、心は触れさせてはくれない。

そんな気がする。

1年経ったけど、俺を『好き』とは1度も言ってくれない。

ただのカラダだけの関係。

俺にとって、女は、彼女だけじゃない。

俺に抱かれかがってる女が大勢いるし、みんな俺のことを『大好き』って言う。

女には、不自由してない。

けど、なんなんだろう、このモヤモヤは。

彼女が俺を『好き』って言ってくれたら、その日は一生の記念日になるかもしれない。

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