1-19
“記念日”って言葉を聞くと、高校の時の悠弥の彼女のせっちゃんを思い出す。
せっちゃん、なんて名前だっけ?セリカ?セリア?まぁ、それは忘れたけど、とにかく、せっちゃん。
悠弥に付き合ってほしいって告白したら、いいよってキスしてくれて、ファーストキスだったの!悠弥、その時イチゴ味のキャンディ舐めてて、甘いイチゴ味のキスだったの!しかも、その日、告白したその日が15日!!いちごの日だったの!だから、毎月15日はイチゴ記念日ね!!
って、謎の記念日を制定して、毎月15日は俺らにもイチゴ味のキャンディを配ったり、冬の時期は本物のイチゴを1パック買ってきて、俺らに1個ずつくれたりしてた。
可愛いだろ!可愛いだろ!って悠弥はのろけてたけど、超バカップルっぽかった。
卒業間近まで付き合ってたから、毎月の儀式、30回以上やってたのかな。
とにかく、せっちゃんの印象が強烈すぎて、記念日って言葉は、ちょっとクスッと笑ってしまう。
今、記念日って言葉が思い浮かんだのは、今日が11月11日だったから。
ポッキーの日でもあるけど、1年前、初めて彼女を抱いた日だ。
あの“海事件”の日。
あれから、1年が経った。
彼女との関係は、あの時より進展したけど、体は俺に預けてくれるけど、心は触れさせてはくれない。
そんな気がする。
1年経ったけど、俺を『好き』とは1度も言ってくれない。
ただのカラダだけの関係。
俺にとって、女は、彼女だけじゃない。
俺に抱かれかがってる女が大勢いるし、みんな俺のことを『大好き』って言う。
女には、不自由してない。
けど、なんなんだろう、このモヤモヤは。
彼女が俺を『好き』って言ってくれたら、その日は一生の記念日になるかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます