1-14

 大輝に呼び出されて、居酒屋へ行った。

今週は、半年に1度の面談週間。

リーダーの大輝が、1人ずつ今後についての話をする。

高校の時から、ずっと続けてる。

だいたい、俺は一番最後。


「桂吾、まず俺の方から言いたいことを言わせてもらうわ!

まず、ギターに関しては、もう少し練習しろよ!うちのバンドで言えば、瞬がいるから、桂吾は第2ギターってポジションだけど、瞬のレベルに合わせてダブルギターでやりたいと思ってる。

だから、おまえがもう少しレベル上げてかね~と、瞬に追いつかねーからな!」

「うん!わかった」

「あと、ピアノは、ひとまずいいや。それは、瞬に任しとけよ」

「わかった」

「で、バイオリンのことだけど、レッスン入れてやってるってな。

レッスンの録画見せてもらったよ。

高校の時、バイオリンはいらね~な!って言ったこと、訂正するよ!

俺、まともにバイオリンなんて聴いたことなかったけど、おまえのバイオリンは人を惹き付けるものがある。

瞬は、ピアノとバイオリンとでインストロメンタルの曲とかもいずれ作りたいって言ってたけど、すげーいいと思う!曲作りに関しては、2人にほぼ任せてるけど、いつかそう言う時期がきたら、やってみようぜ。

とにかく、バイオリンのレッスンも続けてくれよ」

「わかった」

「桂吾をこのバンドに入れて本当に良かったって思ってるよ!俺って、見る目あるよな!」

相変わらずの自画自賛!

「ハーフだから、とりあえず入れたって言ってたじゃん!アハハ!!」

ビールのお代わりがきた。

「まっ!そうだったけど!!アハハハハ!

マジで惹かれたんだよ!おまえに!

バンドのファンが増えたのもおまえの功績だしな!

マジで、ありがとう!」

「おおおっ~~!初めて大輝に誉められたんだけど~~!

いつもいつも、怒られてばっかりだからな!」

「怒られてばっかりは、悠弥だろ?あはははは!」

「高校ん時から、怒られる2人組だな!瞬と龍聖は怒られる要素がないしな」

ビールのお代わりを頼んだ。

「プライベートな話だけど、女関係大丈夫かよ?ちょっと、遊びすぎかとも思うけどな」

「遊びすぎって、やり過ぎってこと?これもひとつのファンサービスなんだけどな」

「うーん。まぁ、いいや。どっちにしろ、女の方から寄ってくるんだから、しょうがねーってのもあるだろうしな。

まっ、あんまのめりこまないようにな」

「わかった」

「で、これは確認!これからも、このバンド続けてくつもりあるか?」

真面目な顔で聞いた。

大輝は、必ずこの確認をする。

「もちろん!俺もプロを目指してるよ!」

「OK!了解!じゃ、とりあえず食おうぜ!」


こっからは、雑談。

この間、高校の時の彼女とバッタリ会って、飲みに行ってきた!とか、一晩で何回戦までやれる?とか、普通にバカ話。

大輝は、本当にリーダーらしいリーダーだ。

物事を決めるスピードが早い。

俺についてこい!って、引っ張ってくれる。

だいぶ強引だったりもするけど、大輝の決定に間違いはない!そう思わせてくれる。


「そう言えば、俺に対して、言いたいことあったら言えよ!」

思い出したように言った。

「大輝に言いたいこと?大輝は、いいリーダーだと思うよ。お世辞とかじゃなくてね。

なんの取り柄もない俺を仲間に入れてくれて、嬉しかったし、感謝してるよ!」

「あはははは!真面目に答えんなよ!

なんの取り柄もないなんて、ハーフが謙遜してんなよ!

おまえ、このバンドじゃ、もしかしたら、もったいないくらいの人材だよ!

本来、俺がやらなきゃなんねーメンバー間のクッションになってくれたりして、本当にありがたいよ!桂吾、これからも頼むわ!」

「了解!」


大輝は、酒が超強いから、つきあってだいぶ飲み過ぎた……

歩いて帰れないくらい飲んだのは久しぶりだな。

大輝にタクシーで家まで送ってもらって帰ってきたらしい。


記憶がとんでる。

ただ、夢の中で彼女とセックスしていたような気がする。

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