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 家に帰り、着替えをして、ギターを担いで少し早めに家を出た。

朝からいい天気だったみたいで、道の雪は陽の当たるところは解けていたけど、日陰はやっぱりまだ積もっていた。

今夜はバンドのミーティングがある。

バイト終わったら、直行しなきゃな。


バイトに行って、びっくりした。

ってゆうか、笑っちまった。

「おはようっす!」

店長に挨拶して店の奥へギターを置いた。

「おはよ!桂吾早いじゃん!」

「何あれ?」

「何って?」

ポカンとした顔で店長が聞き返した。

「隣の花屋の子!!」

「あ~~わかった~?目が早い!ハハハ。

ゆきちゃん昨日あの大雪で家に帰れなくてホテル泊まったんだって!着替えもなくて、お金もないってゆうから、うちのサンプルで良かったらあげるよ!って朝話してね~」

「それにしたって、もっと他にあんだろう?

スカートとか。なんで、ホットパンツだよ!」

「いいじゃん!若いんだから、あのくらい足ださなきゃ!」

「無理やりかよ!アハハ。全然似合ってね~!

アハハ!」

青系の迷彩柄のロンTに、下は黒いホットパンツ。

髪しばったんだな。

ポニーテールが揺れる度にチラッと見えるバックプリントには、金色のラメで

“kiss me? kill you!!”って書かれてる。

“キスして?殺すよ!”  

アハハハハ!どうゆう状況だよ!

俺は半笑いで花屋へ行った。


「おつかれさん!」

「あっ、桂吾さん!おはようございます!」

おはようございますか、2度目だけどな。

「ゆきちゃん!いいね!ホットパンツ!!」

彼女は顔を赤らめて

「からかわないで下さい」

と言った。

「金こんなにいらないから」

と、小声で言って1万1000円握らせた。

「あっ、ありがとうございます」

小さく言ってポケットにしまった。

もっと喋りたかったけど、失礼しますって、店の奥へ行ってしまった。


なんか、不思議な気分。

今朝、何時間か前まで裸で抱き合ってた女が目の前にいて、他人行儀な態度。

すげーな、女って!

雪で帰れなかったって、嘘がうまいな。

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